小さな声が聞こえるところ16「祈りをこめて、送り出す」

無事に11回目の「卒園・修了のつどい」を終えました。
春の日差しの和らぎの中、お父さん、お母さんに見守られて5名の子どもたちがそれぞれに巣立っていきました。

写真の木のこびとさんは、年中・年少組の子どもたちの修了制作です。

阿蘇山中に住む友人に頼み送ってもらった桜の枝を、子どもたちがノコギリで切り、やすりをかけ、大人にナイフで削ってもらったものを、丁寧に蜜蝋ワックスをかけて仕上げたものです。

その手前で、お布団にくるまれてスヤスヤと眠っているのは、卒園児たちが延長保育で園にお残りをしている間に作った「坊ちゃん人形」です。

ネル地の布を茜で染め、周りを並縫いし、羊毛を丸めて、縛って、一生懸命生み出した可愛い赤ちゃんです。
出来上がって、最後に教師が小さく目鼻を付けます。
なるたけシンプルな表情にしてあるのは、シンプルであるほど、子どもたちが遊びに応じて喜怒哀楽の様々な表情をそこにイメージすることができるからです。

修了制作も、卒園制作も、毎年同じものを作っています。

こびとさんも坊ちゃんたちも、同じ表情の筈なのに、その子の表情を感じ取れるのが不思議です。

その子らしく、とか、個性あふれる、とか、それはそんなに特別なことではない。

当たり前の愛情に満ちた丁寧な暮らしが、本質的なかけがえのないその子そのものの在りようを、育てていきます。

特別な体験が必要なわけではないのです。

その子が他の誰でもなく、その子そのものとして育っていきますように。

そんな祈りをこめて送りだす、卒園のつどいです。
下の写真は、毎年入園と卒園のたびに描く、お祝いの黒板絵です。
今年は、5人の卒園児たちが虹を見上げる背中を、祈りをこめて描きました。
みんな、たくさんの愛しい時間をありがとう!
センチメンタルになるのは大人になった私たちばかり。
子どもたちの心には、希望しかありません。

あなたがあなたらしく、どんな時にもいられますように。

 (この連載は、毎月新月・満月に更新されます。次回は4/5新月の更新です。)

文・虹乃 美稀子(園長/担任)

仙台市の保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、シュタイナー幼児教育者養成コースに学ぶ
南沢シュタイナー子ども園にて吉良創氏に師事

06年 園の前身となるシュタイナー親子クラス開設
08年 「東仙台シュタイナー虹のこども園」開園 
仙台、東京、岩手にてシュタイナー講座を通年開催 

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