小さな声が聞こえるところ21「子どもの食事に大切なこと」

 園では、食育に力を入れています。なるたけ有機農法や無農薬栽培で育てられた力のある野菜を使っての、シンプルな玄米菜食の給食です。おかずはひじきの煮物や切り干し大根など、昔ながらの和食が中心。子どもの食事が必ずしも菜食であるべきとは考えていませんが、教育の一環として台所で子どもたちが自由に調理活動に参加できることを大切にしているので、衛生管理の面から言っても、野菜中心の給食がふさわしいのです。

おやつも手作りが多いです。
遠足や毎月の「森のこども園」にも、みんなで手作りしたクッキーなどを持参することがよくあります。食べ物を手作りすることは、ひと昔前は当たり前のことでした。しかしコンビニやスーパーなど至るところでいつでも市販の食べ物が手に入るようになると、調理もまた手間のかかる億劫なことに感じがちになるかもしれませんね。

どうして、子どもには、手作りのものを食べさせるのが良いのでしょう。
アーユルヴェーダの料理家の方のお話を伺った時に、気づかされたことがありました。
アーユルヴェーダを実践している人たちは、あまり外食や買い食いをしないことが多いそうなのですが、その理由が興味深いものでした。それは、単に栄養や添加物などを避けたいということではなく、「作った人の顔の見えないものを避けたいから」だと言うのです。
インドの伝統医学であるアーユルヴェーダでは、食事を作る人のバイブレーション、つまりその時の気分や波動も料理に入ってしまうので、どんな人がどんな状態で調理したのかがとても大事であり、食べ物を食べるということは、そうして作られる過程でのバイブレーションも体に取り組むことだと言うのです。

とても共感しました。イライラしていたり、怒った気持ちで作った料理はどこか不味く感じてしまう経験はどなたにもあると思います。

食事は作る人の顔が見えて、作る人も食べてもらう人の顔が見えている時に、より美味しさを増します。お金を出して買う、栄養と利益ばかりを計算して作られた食べものとは質が全く違うでしょう。体そのものを日々作り上げている成長期の子どもたちには、だからこそ食べる子どもたちの顔を思い浮かべながら気持ちを込めて作ったものを食べさせたい、と思うのです。なぜなら作る人の子どもを思う気持ちそのものが、代え難いエネルギーとなって体つくりを助けていくからです。

粗食で十分。手間もそんなにかけなくて大丈夫。子育てしながら作るのだから、そんなに凝った料理もできません。でも、工場で生まれた味気ない「食品」ではなく、その子のために作られた手をかけた「食事」を与えてあげたいのです。

食べ物というと、栄養に関する情報ばかりが注目され「トマトは〇〇に良い」「はちみつは〇〇に効く」などとテレビで流れると、そればかりが売れてしまうような昨今。足りない栄養素はサプリメントで補う、といった考え方も当たり前になってきましたが、一生を生き抜く体の土台を育てている子どもにとって、自分の体に必要な栄養素は全て、口から入れた食べ物を、消化器官が消化吸収して作り出すことができる機能をしっかり作ることが先決です。
子ども時代からの安易なサプリメントの摂取は、そうした体の機能つくりを怠けさせてしまいます。消化器官の発達を怠けさせてしまうんですね。
食べ物は、なるたけ自分の手をかけて、そして栄養は自給自足が原則です。

(この連載は、毎月新月・満月に更新されます。次回は6/17満月の更新です。)

文・虹乃 美稀子(園長/担任)

仙台市の保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、シュタイナー幼児教育者養成コースに学ぶ
南沢シュタイナー子ども園にて吉良創氏に師事

06年 園の前身となるシュタイナー親子クラス開設
08年 「東仙台シュタイナー虹のこども園」開園 
仙台、東京、岩手にてシュタイナー講座を通年開催 

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