「生きる力の根っこを育てる」

幼児本科 幼稚園部

触覚から始まる

幼児は命あるもの、「本物」に触れながら感覚器官を育て、自らの生命力を豊かにしていきます。「触れること」は子どもにとって、この世界への入り口そのもの。

「触覚」はすべての感覚形成の土台となるのです。

乳幼児期の記憶はほぼ残りませんが、体が直接体験した触覚の記憶は、その子の人生の無意識の領域に残ります。

教材やおもちゃ、子どもが触れる教師の服装に至るまで、自然素材の「本物」であることを大事にしているのはそのためです。

教育も、人生もアート――芸術活動に親しむ

ライゲン(うたと言葉によるリズム遊び)、水彩画(にじみ絵)、オイリュトミー(専任講師による)、人形劇や素話の時間。

これらの活動は、1週間や1ヶ月、季節のめぐりのリズムで繰り返すプログラムです。

幼児期に大切なことは「繰り返し同じリズムで体験すること」。

このリズムが頭や手足だけでなく、体全体に働きかける滋養となり、生命力を豊かにするとともに、人生を通しての芸術的要素が育まれます。

幼児期は体づくりが一番の課題

歯が生え変わる7歳までの子どもは、一生を健やかに生き抜く体づくりが大事な一番の課題。

毎日外で遊ぶことはとても大切です。

泥んこ大歓迎、毎日お庭かお散歩へ。雨や雪の日も外へ出かけます。

庭では土いじりや砂遊び、畑の活動など、時を忘れて遊びます。

散歩なら設置遊具で遊ぶよりも、小川や野原で遊ぶことを大事にしています。

出来上がった遊具で遊ばせるよりも、自然界と直接ふれあいながら遊びのひらめきを得ることがとても大事です。

受け身の遊びではなく、能動的な遊びの姿勢を培います。

園では月1回、「森のこども園」として県民の森での活動も行っています。

食育は人間性を育む

酵素玄米や石臼挽きをして自らこねあげた天然酵母のパンと有機無農薬の穀菜食が基本。すべて教室の台所で手作りしています。

自由遊びの時間にやりたい子は お手伝いができます。

梅干しや味噌は保育の中で手作りしています。

幼稚園教育は、理想の家庭教育の再現です。

陶器の食器を使い、テーブルにはお花を飾り、恵みへの感謝のお祈りをして、食事の時間を大切に過ごしています。

子どもたちは園の給食が大好きです。

食材は放射能問題にも留意し、浄水器は水道元栓に取り付け、どの蛇口からも浄水が出ます。

めぐりてめぐるいのちのリズム

園の暮らしは、季節の祝祭行事を軸に展開していきます。

七夕会や豆まき、ひな祭りといった日本の伝承行事、アドヴェント・ガーデンやミカエル祭といったシュタイナー幼稚園ならではの行事を、手仕事や芸術活動を織り交ぜながら、暮らしを彩り深めていきます。

「季節のめぐり」とは、つまり星のめぐりを意味し、それは私たちの生命活動のめぐりとも呼応しています。

一生を支える体づくりが一番大事な幼児期。こうした季節行事を毎年変わらず祝うことは、実は自然界と親しみ、自分の体のリズムを健全に整えていくという意味があるのです。

ノンデジタル・デバイスフリー

一生を支える体と感覚器官を育てている幼児期は、この世界とリアルに出会っていくことがとても大切です。社会のデジタル化・AI化が急速に進む中で、子どもの健やかな感覚器官の成長が阻害され、色々な問題を生んでいます。

AIに振り回されずにデジタルを自分の意思で使いこなせるようになるために、幼児期はノンデジタルの環境をなるたけ守ってあげましょう。

園では、CDやマイク、スピーカーといった機械を一切使っていません。人間の生の話し声、歌声の質を大事に考えています。

子どもの前で大人がスマホをいじったり、動画を見せたりということもありません。

社会に取り残される?大丈夫です。

こうして守られて揺るがぬ「自分らしさ」を育んだ卒園生たちは、10代になると様々なデジタルを「中毒にならずに」能動的に使いこなすことができるようになります。

  • にじみ絵

    厚手の画用紙を濡らし、三原色の透明度の高い絵の具を用いて、それぞれの色の混ざり具合を楽しむ画法です。混ざり合う中で生まれてくる色彩を楽しむことで豊かな色彩体験を深めていきます。
    芸術療法としても取り入れられているこのにじみ絵は、小さな子どもから大人までが楽しめます。どの子も絵を描くことが大好きになります。

  • ライゲン

    みんなで輪になったり、ぶどうの房のように連なったり、広がったり縮んだりしながら楽しむお遊戯のようなリズム遊び。
    題材は暮らしの生活動作であったり、自然界のうつろいであったり。毎日の保育の柱の一つです。同じ題材を2〜3週間繰り返し楽しみます。

  • オイリュトミー

    「オイリュトミー」とは、ギリシャ語で「美しい調和あるリズム」という意味です。シュタイナーによって新しく開発された芸術であり、音や詩に合わせて身体を動かします。
    ライゲンが担任が行なうのに対して、オイリュトミーはオイリュトミスト(専門の講師)によって行なわれます。
    特に幼児オイリュトミーはファンタジーの導きの中で行なわれますが、子どもの身体の形成力を高め、思考と感情と意志をバランスよく発達させるための運動芸術として欧米では医療現場での療法の一つとされています。

  • 素話

    素話とは、絵本や紙芝居を用いずに、語りのみでお話を聞かせることです。
    園では毎日帰りのお集りの時間に、輪になりろうそくを灯してお話の時間を持ちます。
    日本の昔話やグリム童話などを素話で数日間繰り返し語ります。
    じっと耳を傾けることで、メディア過多の現代社会では育みにくい想像力を育みます。
    季節ごとに、素朴な人形劇を楽しむ時間もあります。
    園での一日をしめくくる、静かで豊かな時間です。

  • 森のこども園

    春から秋の間は月に1回「森のこども園」として、親子で宮城県県民の森に出かけています。
    広大な森で探検遊び、川遊び、木登り、アスレチックなどを楽しみます。
    同じ森に繰り返しでかけることで、自然への親しみを増し、季節の移ろいを肌で感じながら丈夫な体を育てています。

保護者からの声

IMG_6083
“こんな幼稚園に私も通ってみたかった”

“お母さん方から多くいただく声です。 そしてお子さんの通園をきっかけに、大人もまた自分自身の子ども時代にもう一度触れることができるのです。”

Snd2iwOY0qr_GDpYdsdGmcAkI1a1lSQMpFK5NFtMp0Ei4kCf2zerorN_HK8oIQKJhm8St55C-NvzBNQXEzo8eF33KZqQysmiOCISb2AOw4HGFhPAGtsLxie-yPPQitxHm5nBI1nH=s800
IMG_5575

T.K さん

“春の訪れを待つことが、こんなにもわくわくと胸の奥がキュンとするものだったこと。
息子が1歳になる前から親子クラスに通い始め、虹のこども園に通うようになって、年々強く感じることの一つです。
膨らんだ蕾をこどもたちがそうっと覗く姿が本当に可愛らしくて愛おしく、春の訪れをより一層特別なものにしてくれます。
夏の暑さを心底楽しみ、厳しい冬の闇をとことん味わう。
私たちが何万年と紡いできた暮らしの葉脈を、園の子どもたちは日々体感し、その身体の細胞に少しずつ刻み直してゆくのでしょう。
真上にある太陽の下で弾ける笑顔。
涼しくなった夕方にはみんなでお祭り、盆踊り。
まだほのかに明るい空に一番星の出ることを、子どもたちは知っています。
秋の実りは大地への感謝と自然への畏敬。
一粒の種が芽を出し、花をつけ、成長して実となって、それが私たちの口に運ばれるまで。
園庭に育つ植物たちを日々観察、自分たちの手を介して食卓に上がる過程を子どもたちは経験します。
梅仕事や味噌仕込み、石臼で麦を挽いてのパン捏ね。
いつでもお手伝いできるように配慮された園内での給食作り。
ささやかながらとても豊かな時間がここにはあります。
こどもたちが目にし、耳にすること。触れて感じることのすべてが、美しく喜びに溢れるものであって欲しいと心から願うとき、私はこの園で過ごす時間こそ、その核なるものだと確信します。
こどもらしく笑い、こどもらしく泣く。
その子がその子で在ることが絶対的に保証される。
こどもという存在をどう受け止めるかを真剣に考えてくれる大人の中で、我が子達が過ごせていること、本当にありがたく感じています。
冬。吐く息が白銀の世界と重なる時。
子どもたちはその内なる光を探し当てるのかもしれません。
アドベントのセレモニーは毎年厳かに。
毎日が本番の聖誕劇はどの日も一大イベント。
一面真っ白になった雪の日には、心ゆくまで雪遊び。
私もこんな園に通いたかったなぁ(笑) 思い切り遊んだあとには、ろうそくの灯りを囲んでおあつまり。
大人になった時にも、自分の内側をみつめることができるように。
内なる声に耳を澄ますことができるように。
闇の中にも新たな光を見つけることができるように。
ちいさな園のちいさなろうそくの灯りが、いつまでも灯り続けることを願います。
これからもこどもたちの未来を照らし続けてくれますように。”

よくある質問

年少さんから年長さんまでがきょうだいのように関わりあいながら育つ家庭的な保育グループは、幼児が育つコミュニティとして一番自然な在りようです。
上の子に面倒を見てもらったり、憧れたり。
下の子に譲ったり、お世話をする喜びを感じたり。
同じ年齢の子どもたちばかりのグループよりも、その関わり方は広がりが生まれ、慈しみの心も育てます。
また、一貫して同じ担任が受け持ちますので保育者との関わりも深まります。
こうして人間関係の基本を無理なく丁寧に学習できるので、どの子も「自分らしさ」を自己肯定し、互いの「らしさ」を認め合える環境の中で育っていきます。
卒園児の多くは公立小学校に進学していますが、大きな集団に入っても自分を見失わずに自分らしく過ごせる土台を作っています。

もちろんです。 入園(入会)に際して、事前に保護者の方が知っておくべき知識というものは特段ありません。 幼稚園部、未就園児クラスともに、保護者の方もともに学んでいける機会を作っています。 当園をお知りになり何かお心に響くものがありましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。 尚、シュタイナー幼児教育についての概要をお知りになりたい方は、当園も所属しております一般社団法人日本シュタイナー幼児教育協会のホームページをご参照下さい。 http://jaswece.org

ご安心下さい。
元気な男の子たちが今までもたくさん通っています。
「走り回るのが大好きな男の子」たちも実は、走り回ることだけではなく、じっくり座って手仕事をしたり、空想を自在に膨らませてごっこ遊びをしたり、先生と一緒に料理をしたりするのが大好きです。
大人からみて有り余るくらいに感じるそのエネルギーは、「発散」だけではなく「集中」することに向けていくことも大切です。
例えば、毎週のパン作りで重い石臼を根気よく回したり、にじみ絵で色彩の中に没頭する体験をしたり、長い素話に耳を傾けることで頭の中に壮大な世界が描けるようになることです。
それと同時に当園では、外遊びにも大変積極的です。
毎日おやつの後は、園庭かもしくは徒歩10分ほどの自然豊かな公園で遊んでいます。
ここは、公園の横に勾配のある昔ながらの野原があり、小さな川も流れていてカニやザリガニを釣って遊んだりしています。
大きな桜の木が何本も生えていて、木登りもできます。
カッパと長靴は常備していただき、雨でも雪でも安全面の心配が無い限りは毎日外に出るようにしています。

園庭は小さいですが、子どもたちの外遊びにとって、走り回ることよりも大切なのは無心に穴を掘ったり、泥だんごを作ったり、水を流したりといった砂遊び・泥遊びです。
こうした遊びを通して感覚器官も育てていきます。
また、庭には小さな花壇や畑もあります。
給食作りで出た生ゴミは庭のコンポストに返し、そこに群がるダンゴムシと遊ぶのが子どもたちは大好きです。
ウッドデッキの屋根は、お父さん方の手作りの竹製雨樋でできており、集めた雨水を天水桶として活用しています。
震災後にできた園庭は(震災前は園庭はなく、いつもお散歩に行っていました)今ではカナヘビがすみつき、チョウチョやバッタやコオロギ、いろいろな生き物たちに出会える庭になっています。
みんなで愛しむ小さな園庭には、循環するいのちの世界が感じられます。
それは、大きく広がる自然界の入り口でもあるのです。

2016年より、仙台市青葉区中山に全日制のシュタイナー学校が開校しております。
こちらをご覧下さい。
特定非営利活動法人おひさまの丘
宮城シュタイナー学園
http://ohisamanooka-steiner.jp