小さな声が聞こえるところ23「いつもと同じだから育まれるもの」

  週末、小さな子を持つ親御さんは子ども達とどんな風に楽しく過ごそうかと悩まれるでしょう。
動物園に水族館、様々なレジャー施設や子ども向けのイベントがあちこちにあります。
「どこに行きたい?」と聞けば、子ども達はすぐさまいろんな場所を答えます。
少し前の話ですが、4歳の子が「ディズニーランド!」と答えたのを真に受けて、お父さんが子どもの夢を叶えてあげようと張り切って、仙台からはるばる連れていってみたものの、実際に行ってみたらば「大きなネズミの動くぬいぐるみ」に子どもは圧倒されてこわいこわいと泣くばかり、お金と時間を無駄にしました、なんて笑い話もありました。

実は、本当に子どもが楽しい場所は、どこかスペシャルな場所ではなくて、いつもの近所の公園の砂場かもしれません。
知ってる場所、知ってる顔ぶれ、繰り返す遊びは世界に対していつも新鮮な出会いを繰り返している子ども達にとって「知ってる」という大きな安心と自信となります。
「知っている」場所だからこそ、そこがスタートとなって初めて自分らしく遊び始める余裕が出てきます。それこそが、クリエイティブな力を培うベースとなります。

いつも行ったこと、見たことのない初めての場所や初めて出会う人ばかりのところに出かけていると、初めての場を子どもなりに把握し、刺激を消化しようと、それだけで子どもの感覚はいっぱいになります。つまり、受け身の体験ばかりになるのです。
同じことばかり繰り返すと飽きてしまったり、新しいことが物珍しくて楽しいのは、私たちが世界をある程度知ってしまった(つもりになっている)大人だから。
子どもにとっては、繰り返しこそが、安心して自分の世界を展開していく土台となるのです。

幼児期に培いたいのは、能動的に人生を生き抜く意志の力。
見るもの聞くもの珍しいのが新鮮で面白いと感じるのは、世界をもう少し知った後の話なのです。
週末に「どこか連れてって〜!」と子どもたちに言われても、プレッシャーに感じずに、どうぞ気楽に遊べる近所のいつもの場所に出かけてみてください。
遠出の疲れも溜め込まず、お財布も軽くならずに、のんびりじっくりいつもと違う時空間の流れを子どもと一緒に楽しめるかもしれませんよ。

(この連載は、毎月新月・満月に更新されます。次回は7/17満月の更新です。)

  文・虹乃 美稀子(園長/担任)

仙台市の保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、
シュタイナー幼児教育者養成コースに学ぶ
南沢シュタイナー子ども園にて吉良創氏に師事

06年 園の前身となるシュタイナー親子クラス開設
08年 「東仙台シュタイナー虹のこども園」開園 
仙台、東京、岩手にてシュタイナー講座、子育て講座などを通年開催 
new! 19年8月「小さなおうちの12ヶ月」(河北新報出版センター)出版予定 ご予約受付中!

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