小さな声が聞こえるところ26「未来から現在に流れてくる夢」

つい先週、初の著書が出版されました。「小さなおうちの12カ月」です。
妹から「お姉ちゃん、言っていた夢が叶ったね!」というLINEが。
私、家族そんなにそんな夢を語っていたかしら、、、と首を傾げましたが、
何と、語るどころか宣言していたそうで。

もう10年ほど前、98歳まで生きた祖父がまだ元気だった頃、
母の還暦祝いを皆でした時のこと。
宴の終わりに盛り上がり、家族が一人ずつ、
踏み台の上に立って「自分の夢」を宣言するということになったのです。
そんなことを家族でするのも初めてだったのですが、
珍しくその時はそこまで盛り上がったのでしょうね。
まだ幼稚園を営み初めたばかりの35歳の私、
その時に台に上って「本を出します!」と宣言したそうなんです。

そんなことは物の見事に、記憶からすっかり忘れ去っていました。
宴が盛り上がり、みんなで台に登ってそれぞれに照れながら
宣言したことは覚えていますが、
祖父が「100歳まで生きます!」と言ったのを覚えているのみ。
(靴屋だった私の祖父は、本当にチャーミングな人でした)
自分のことなど綺麗さっぱり忘れていました。

それからの日々は、幼稚園を営み、自身で保育をしていくことに本当に夢中の日々でした。
その1、2年後にはあの大震災が起こり、原発事故もあり、
生きた心地もしないまま、子どもたちを守り育てることに必死でした。

あれから10年ちょっとが過ぎ、ひょんなことからこうして本が出せたこと、
そして妹がかつての自分の宣言を覚えていてくれたことに感謝です。

思えば、本好きだった小学生の頃から、
ずっと自分の本を作るのが夢でした。
自分の夢は、握りしめて執着してばかりだと叶わないけれど、
忘れた頃に叶っているというのは、本当なんですね。

(初めて本屋さんに自分の本が並んでいるのを見つけた感動。丸善アエル店さん。)

そういえば、自分にとって面白い符号がもう一つ。
本の奥付に記される「出版日」は業界の慣習で、
本が印刷されてから最初の大安の日を記すものだそうで、
私の本の場合は「8月11日 山の日」でした。
山は好きなのでこの偶然は嬉しいなあと思いつつ、
ふと、あれ??この日は??と思い
古い日記を開いてみたところ
ちょうど20年前の1999年8月11日は、今の園舎である「ゆんた」が生まれた日でした。
つまり、新居引き渡しの日。

この夏は、不思議な思いに駆られることが多いです。
お盆のお墓参りに行き、今度の出版を一番喜んでくれたであろう、
祖父と祖母に、報告と感謝を伝えてきました。

(祖父と祖母と体重3900gで生まれてきた私)

次の10年は、どんな風に道を歩んでいくのでしょう。
時間は、過去から未来に流れるだけではなく、
未来から現在に流れてくるとも言います。
目的こそが、今の自分を未来へと引っ張っていくのだとも。

生きてるって、面白いですね。
自分の力だけではない何かに、守られていることに感謝するお盆休みです。

(この連載は、毎月新月・満月に更新されます。次回は8月30日新月の更新です。)

  文・虹乃 美稀子(園長/担任)

仙台市の保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、
シュタイナー幼児教育者養成コースに学ぶ
南沢シュタイナー子ども園にて吉良創氏に師事

06年 園の前身となるシュタイナー親子クラス開設
08年 「東仙台シュタイナー虹のこども園」開園 
仙台、東京、岩手にてシュタイナー講座、子育て講座などを通年開催 
new! 19年8月「小さなおうちの12ヶ月」(河北新報出版センター)出版 
Facebook|東仙台シュタイナー虹のこども園
Instagram|@steiner_nijinokodomoen