小さな声が聞こえるところ30「ひとりずつ大切に祝うお誕生会」

園では、子どもの誕生日が来るたびに、
その子のためだけにお祝いをします。
○月生まれのお誕生会、のようにまとめてお祝いすることをしません。

テーブルには庭の花々を飾り、
誕生日の子どもはかんむりを頭につけて
黄色のシルクのマントを羽織り、
お母さんと一緒に、友達や先生の歌に導かれてお部屋に入ってきます。

お誕生会では私がろうそくを灯して、毎回同じ素話をします。
それは、天使だった子どもが、空の上からお母さんを見つけ、
星の階段を降りてやってくるお話です。
そのお話の中に、こんな一節があります。
最初に雲の隙間からお母さんを見つけた時のシーンです。


ー小さな天使は、お母さんのそばまでそっと降りていくと

こんな風に聞きました。
「お母さん、わたし(ぼく)ここのおうちの子どもになってもいい?」
「もちろんですよ」
お母さんがそう答えますと、そこら中に響き渡る鐘が鳴り、
遠い空の向こうからこんな声が聞こえてきました。

「さあ、ゆきなさい。

 星の階段を降りて、鐘の音の響き渡る中に。
 そしてまたいつか、ここに帰っていらっしゃい。」

天使が星の階段をゆっくりと降りてゆくと、
いつの間にか背中の羽は折りたたまれ、
お母さんのゆりかごの中でおぎゃあおぎゃあと泣いているのでした。―

このシーンを話すたびに、多くのお母さんが涙されます。
私たち教師も、幾たび話しても、思わず泣けてしまうところです。
子どもたちが、この世に降り立ちたいという
それぞれの強い意志を持ってやってきた、
尊い天使たちであることを心に刻み直すひととき。

  

子どもたちは、一年を通してお友達のお誕生会のたびに
このお話を聞いています。
天使だった自分が、お母さんとお父さんを見つけて
地上に降りてくるというこのストーリーは、
知らず知らずのうちに、
子どもの心に深く染み込むイメージに変容していくのです。

ちなみに、教師からのお誕生日のプレゼントは、
その子のために教師が手作りしたお誕生日こびと。
森の中から、数日かけてその子のもとに、歩いてきてくれます。

(この連載は毎月新月・満月の更新です。次回は10/28新月の更新です)


文・虹乃 美稀子(園長/担任)
仙台市の保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、
シュタイナー幼児教育者養成コースに学ぶ。
南沢シュタイナー子ども園にて吉良創氏に師事。
06年、園の前身となるシュタイナー親子クラス開設
08年、「東仙台シュタイナー虹のこども園」開園   
仙台・東京・岩手にてシュタイナー講座・子育て講座を通年開催 new! 19年8月「小さなおうちの12ヶ月」(河北新報出版センター)出版 

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