小さな声が聞こえるところ37「虹のこども園の新たな決意」

今年初の新月、つまり今日は旧暦の元旦。
改めまして、あけましておめでとうございます。
大寒も過ぎたこの時期は、光が春に向かって少しずつ膨らむ気配が感じられます。
「新春」とか「迎春」といった正月を表す言葉も、
実感を持って感じられるのは、旧暦の暦の上でこそですね。

旧暦の上でもいよいよ新年を迎え、いま、とても新しい気持ちになっています。
昨年までは、国の幼児教育無償化の動きの中で、
私たちの小さな園の今後のありようについて、
何度も考え、話あう良い機会となりました。

結果として私たちが選んだのは、
「園を始めた最初の理念を大切に手放さず在り続ける」
ということでした。

虹のこども園は保育サービス施設として開園したのではありません。
子どもたちが「本質的に」子どもらしくいられることを保障され、
その唯一無二の魂の輝きを、存分に放っていけるような
「もう一つのおうち」であることが、その理念でした。

私は20代に保育所と、そして児童相談所の一時保護所職員という経験を経て、
過労と心労で心を病みかけた時に、
学生時代から憧れていたシュタイナー幼児教育を学ぶという覚悟をしました。

そして、出会ったお母さん方と幼稚園を作ろうということになった時、
一番大事にしたかったことは、この理念だったのです。

その時々の、国や社会の在りようにより求められる「子育て施設」も大事ですが、
私は小さくてもいいから、そういった外からの力に翻弄されない、
人間の尊厳を守り育めるような、子どものための場所を作りたかったのです。


もちろん、はじめた当初は必死でがむしゃらで、
そんな想いは言葉にする余裕もありませんでした。
園も12歳を迎えた今、やっと今回の無償化問題に当たって
虹のこども園の精神が言語化できた、という感じです。

そして、
教育とは何か、
子育てとはこれからの人類において
どんな位置付けになっていくものなのか、
といったことを考える大きな目を持たされるきっかけにもなりました。

無償化の対象となるためには、今の園が大事にしているあれやこれやを
変えたり諦めたりしなければいけないことがあまりにも多すぎました。

そして、私は何事においても
「無償」であることは慎重さが求められると思っています。
「タダである」ということは
ついついそこにまつわる様々な自分の役目や責任について
鈍感にさせてしまう傾向があるからです。
社会の中で、本当に困っている、助けが必要なところに、
そのお金が回っているのかということも気づきにくくなります。

虹のこども園は私塾である、という立場を改めて確かめリスタートする2020年です。
やりたいことがたくさんあります。
これまで以上に、大人の学びの機会も増やしていきたいです。
昨年から声の高まっている、卒園児のための小学生クラスの新たな増設も今年は行います。
小さな場所から広く発信するために、次の本の執筆も始まりました。

何よりも、ここ1、2年の間にぐんと強まっているのが、
親子クラスや幼稚園部に通ってくる子どもたちの、
園に向かってくる期待と喜びのエネルギー。
教師が圧倒されるくらいの何か大きな力が
虹のこども園に集まってきているのです。

行き詰まり感のある今の時代だからこそ、
大人も子どもも「学ぶ」ことが大切です。
いつでも時代は、自ら学んだ人間によって切り開かれてきました。

次の扉はいつだって小さくて重いのですけれど、
勇気を出して開けてみると、
そこから漏れ出す光は
子どもも大人も同じように照らし導いてくれる、
次なる世界の光です。

近く遠くに広がる皆さん、今年も虹のこども園を
どうぞよろしくお願いします。

(この連載は毎月新月・満月の更新です。次回は2/9満月の更新です)


文・虹乃 美稀子(園長/担任)
公立保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、
シュタイナー幼児教育者養成コースに学ぶ。
南沢シュタイナー子ども園にて吉良創氏に師事。
06年、シュタイナー親子クラス開設
08年、「東仙台シュタイナー虹のこども園」開園   
仙台・東京・岩手にてシュタイナー講座・子育て講座を通年開催 
new! 19年8月「小さなおうちの12ヶ月」(河北新報出版センター)出版 

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