小さな声が聞こえるところ4「いしよ育て、いしうすごーろごろ」

月に一度の「るりのほし」クラスは、園でも一番小さな0歳児クラス。
0歳児、と呼ぶのは保育指針に合わせた新年度の4/1付で0歳(1歳の誕生日を迎える前)という基準なので、秋になった今頃は1歳の誕生日を迎えている子も半分くらいいます。
もうスタスタと歩く子も多く、赤ちゃんから幼児へと成長の階段を昇っていく時期。

当初このクラスはお母さん方の学びを中心に、座学講座と手仕事講座を交互に取り組む計画だったのですが、集まった子どもたちの成長の様子から、じっくり座学をしている雰囲気でもなくなり、今月から予定していた内容を子どもたちも興味を持てるような体験を加えて取り組めるようにしました。

9月の講座のテーマは「子どもたちの意志を育てるということ」
0~7歳までの乳幼児期は、一生の土台となる健康な身体つくりと、その健やかな身体に基づく「意志」の力を育むことが一番大切です。
意志とは、平たくいうと「生き抜く力」とでも言えましょうか。
身体を維持する無意識のエネルギーであり、魂の営みの活動そのものです。

その意志とはどのように育んでいくのか、ということを幼稚園部の生活の様子をご紹介しながらお伝えしました。
基本は「頭ではなく体で繰り返し経験していく暮らし」です。
意志は、体に無意識のうちに根付いていくものだからです。

その例の一つとして、お母さんたちに石臼を回してもらいました。
幼稚園部では、毎週月曜日に玄麦を石臼で挽く作業をします。
自由遊びの時間に、やりたい子が自主的に取り組む作業なのですが、石臼を回し、ふるいにかけて残った麦をまた挽き直す、という作業を繰り返します。
そうしてできた全粒粉でパンを捏ねて、給食で皆で食べるのです。

子どもたちはこの繰り返しの作業の中で、硬い麦の粒を粉にする作業の道理を身体を通して理解します。
太古の昔から人類の共通の基本道具であった「石臼」の意味を体験を通して知ることで、「すり潰す」という作業は砂遊びやままごとといった遊びの中でも応用される知恵となります。
毎週取り組むこの作業の中で、自らの食事を賄う喜びも覚えます。
これは自信につながります。
また、繰り返しの作業の中で子どもたちは「こうしたらもっとやりやすい」といった創意工夫を編み出します。
時には大人以上の機転を効かせることもあります。

これらは、「体験ワークショップ」のようなその場限りの体験では決して身につかないものです。
一度きりの体験は幼児にとって刺激にはなりますが、小学生以上の子どものように、深い興味関心を引き起こし、そこから自分で興味を発展させたりといったことは難しいのです。
何より「意志」を育てるためには体に染み込む「繰り返し」こそが意味があるのです。

お母さん方には、その場でおやつにしてすぐ食べられるように園庭で育てたホピ・コーンの種を挽いてもらいました。ネイティブアメリカンの主食のとうもろこしです。
「結構重いわ!」
「夢中になっちゃう」とワイワイと楽しむお母さんたち。
その様子を興味深げに覗き込んだり、一緒にふるいに手をかけたり、トウモロコシの粒を石臼の穴に落とすのを楽しむ小さな子どもたち。

みんなで挽いたコーンの粉は、小麦粉と豆乳と少しのお塩を入れておやきにして食べました。
薄く焼くと、子どもたちも手づかみで食べやすくパクパクと食べてました。
挽きたての粉は、風味が良くて本当に美味しいんですよね。

情報で頭がいっぱいになりがちの現代、大人にとっても身体を動かしながらの方が伝わることって多いのかもしれないなと改めて思いました。

意志も石も、「かたい」というのが通じるところかな。

(この連載は、毎月新月・満月に更新されます。次回は10/9新月の更新です。)

文・虹乃 美稀子(園長兼クラス担任)
仙台市保育士として7年間勤務後、シュタイナー幼児教育者養成コースに学ぶ
08年「虹のこども園」開園 
仙台、東京、岩手にてシュタイナー講座を通年開催 
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