クリスマスを待つアドヴェントの季節に入りました。
園ではアドヴェントに入る最初の日曜日の夕方に、園に集いセレモニーを行います。
いわゆる「アドヴェント・ガーデン」と呼ばれる永遠の命を象徴したモミの枝の渦巻きの中を、
私たちの精神が受肉した今生の「命あるからだ」を象徴したりんごろうそくを手に、
子どもたちがひとりひとり入っていきます。
このりんごにさされたみつろうろうそくは、園が始まってからずっと、手作りしています。
みつろうとは、ミツバチが巣を作るために腹部から分泌する蝋(ロウ)のことです。
働き蜂は花の蜜を吸うことで、体内で蜜を作ります。
そして、腹部にある蝋線という器官から蝋を分泌します。
そして、蝋線から分泌される蝋と花粉などを口の中で混ぜ合わせて巣を作ります。
そう、ミツロウはミツバチの巣そのものなのです。
アドヴェントが近づくと、幼稚園部の教室は、溶かされたミツロウのほのかな
甘いかおりが漂います。
いつもは昔話を聞くお帰りの時間に、一人ずつ凧糸が渡され、
それを芯にして、一人ずつ溶けたミツロウの中に浸していきます。
浸して上げては、また浸し、、、を順に繰り返していくと、少しずつろうそくが太くなってきます。
だんだんと子どもたちはそれが、日々お集まりやお話の時間やお誕生会で灯している、
馴染みの深いあの黄色いろうそくであることに、気づくのです。
ミツロウを溶かした蒸気は、巣の成分に含まれるプロポリスなどが微量に含まれ、
浄化の作用があるようで、ウイルス性の風邪が流行る冬の季節にはぴったりの手仕事です。
また、ミツロウは温める作用も大きく、アントロポゾフィー(シュタイナーの人智学)医療でも、
「ミツロウ湿布」などの治療法があります。
ミツロウろうそく作りはもちろん、冷え固まったミツロウ粘土をじんわりと手の中で温めて柔らかくしてこねていると、指先までポカポカしてくるので、冬の手仕事にぴったりです。
冷え性で困っている方にも、大人の冬の手仕事としてもオススメです。
ミツバチさんは、花粉を運び、蜜も蝋も人間にも譲ってくれて、本当に働き者ですね。
アインシュタインは「ミツバチが絶滅したら4年後には人類も滅びているだろう」
と警鐘を鳴らしましたが、人間の文明がミツバチの絶滅を引き起こしかけている現在、
私たちは自分たちの暮らしを本気で見直すことが問われています。
そうしたことに想いをはせんがら、今年も子どもたちとミツロウろうそくを太らせました。