今日の満月は、十五夜。
今年は早くにやってきましたね。
まだ夏の暑さを感じる日もありますが、空を見上げると、流れる雲はもうすっかり秋の表情。
自然界の美しさを、身近で存分に味あわせてくれる秋がやってきました!
季節の巡りを感じられるということは、幸せです。
この「季節の巡り」を通して、私たちは周り巡る一年の流れを感じています。
そして、変わらずに次の季節がやってくることを信頼しています。
こうした世界への無条件の信頼感を、幼い子どもたちにはしっかりと育てていくことが大切です。
一年のリズムがあるように、ひと月のリズム、一週間のリズム、そして一日のリズムがあります。
毎朝日が昇ったら目覚め、活動し、日が暮れたら夕食をとり、眠りの世界へ入るー。
一日の流れがリズムを持ってゆるやかに秩序だった暮らしがあるとき、それは子どもたちにとって心地よく、治癒的に作用します。
「自分が予測不能な出来事にさらされている」と感じることがないので、子どもの中に安定と方向付けがもたらされるのです。
園ではお集まりでろうそくを灯したり、手に良い香りのするオイルを塗ったり、食事前の歌やお祈りの時間を大事にしていますが、こうした一日の生活のリズムの中に繰り返される「毎日の小さな儀式」の繰り返しは、安心して守られているという感覚の助けになります。
「小さな儀式」はお祈りにせよ、ろうそくを灯すことにしろ、必ずしも「必要性」があるものではありません。
しかし、この「必要性」を超えたところでなされる小さな要素こそが子どもにとってとても有意味であり、実際に子どもたちは何よりもこうした小さなひと時を大事にしていて、家庭においても最も模倣し再現する遊びに表れています。
「時間をリズムを持って形成する」というのは、現代社会において大人が気をつけたい大切なことです。24時間昼夜の別なく動いている社会で子ども時代を過ごすことになる小さな人たちのために、大人は時間という見えないものに、リズムを刻み込んでいってあげなければなりません。
では、どうすればリズムのある生活になっていくのでしょう。
大事なことは、「いつも同じ」ということです。
暮らしの流れ、例えば食事、洗顔、入浴、洗濯や掃除など繰り返される日々の行いを、同じ時間、同じ流れ、同じ手順で、同じ場所で行なっていきます。
お馴染みの秩序を繰り返すことで、子どもたちは自分で見通しが持て、居心地よく、守られていると感じることができるのです。
0〜2歳児が保護者さんと通ってくる未就園児親子クラスにおいても、この「いつも同じ」という流れを大切にしていて、思いつきで流れを変えたりしないように気をつけています。もちろん、園のクラスよりも、家庭生活はもっとゆるやかで臨機応変なものであるべきです。しかしその中にもやはり「秩序だった」ぶれないリズムの柱を立てることは、大切です。
こうした繰り返しの秩序の経験がないと、子どもたちの生活感情は弱まり、落ち着きのなさや興奮が目立つようになります。
物事には信頼できる秩序があることが、子どもたちに安心を与えるのです。
今日の仙台は空がとても晴れていて、まん丸お月さまを眺めることができそうです。
お団子をお供えして、ゆっくり夜空を見上げてみましょう。
昨年も、来年も同じことができたとしたら、それは子ども時代の無意識の領域に眠る、大事なギフトになっていくでしょう。