「言葉の乱れは、心の乱れ」などと大人に言われた昭和は遠くなりにけり、でしょうか。
SNSやチャットでのやり取りが増え、書き言葉の表現能力が堕ちていくばかりではなく、話し言葉の乱れもまた目立っている時代です。
SNSやチャットでのやり取りが増え、書き言葉の表現能力が堕ちていくばかりではなく、話し言葉の乱れもまた目立っている時代です。
お手本となる私たち大人の言葉遣いそのものが、丁寧でなくなってきているので、子どもたちも身につけるも正される機会も減っているのではないかと思いますが、子どもの前で先生と呼ばれる立場の人が「ヤバいよね〜」「マジで!?」などと返しているのを見ると、がっかりしてしまいます。
最近は、子どもたちと友達のように関わる、先生と呼ばせずにニックネームで呼んでもらう、と言ったはやりのスタイルもあるので、その延長でつい言葉遣いもラフになりがちになってしまうのかもしれませんね。
でも、丁寧な言葉遣いは人間の品格に由来するものとして、成長すればするほど他者が奪えぬ身についた「財産」となります。
もちろんTPOに合わせてくだけた言葉遣い、ラフな話し方ができるということは、円滑な人間関係を育むコツではありますが、そんな話し方しかできない、というのは言葉の貧困状態に陥っているとも言えます。
なんでも「ヤバい」「カワイイ」としか表現できない脳は、それだけ粗い感性しか持ち合わせることができなくなり、結果として生きる道の可能性を狭めてしまいます。
言葉を豊かに使えるということは、それだけ人生の奥行きを深く豊かにしてくれるのです。
先日も、園で男の子たちが遊びながら「ヤベエ〜」「ヤバイ、ヤバイ!!」と言い合っていました。
ベンチの下に、紙飛行機が滑り込んでしまったのですね。
「ヤバイ」と言ってみたい気持ちはわかります。
カッコつけた気持ちになれますし、ちょっと背伸びした気分にもなれます。
でも、そんな時にさらりと言ってあげるのです。
「『ヤバい!』、じゃなくてそう言う時は『まずい!』って言うのよ」と。
付け加えて、子どもたちがいつもごっこ遊びをしている憧れの職業を例に出してこう言いました。
「宇宙飛行士や消防士は現場で『ヤバい』なんて決して言わないのよ。そして、本当に困った時にいう魔法の言葉を教えてあげるね。
『きっと、うまくいく!』って言うの。そうやって消防士さんたちはピンチを乗り越えていくのよ。」
『きっと、うまくいく!』って言うの。そうやって消防士さんたちはピンチを乗り越えていくのよ。」
そんなふうに話すと、最近では口答えも一丁前になってきた年長の男の子たちも耳を傾けて、フンフンと納得してくれていました。
豊かで品性のある人格を育てたいと思ったら、豊かで品格のある言葉で導いていくことは欠かせないのです。

(文・虹乃美稀子)
「小さな声が聞こえるところ」は新月・満月の更新です。
次回は12月20日新月🌑の更新です。
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