小さな声が聞こえるところ181「シュタイナー教育でクリスマスを祝う意味」

 幼稚園部は冬休みに入りました。

11/30のアドベントセレモニーから始まり、生誕劇を今日は何の役かなとドキドキしながら毎日楽しみ、順番にくるみのアドベントカレンダーをひらき、ニコラウスさまからの秘密のカゴに入った贈り物を楽しみにして、昨日クリスマス会を迎えました。いつも、クリスマス会を終えると、しばし冬休みに入ります。

クリスマス会は、一足早くクリスマスをお祝いします。毎日演じてきた(これは発表会に備えた練習ではなく、毎日が本番という気持ちで楽しんでいます)生誕劇をお家の方々にご覧いただいたり、お母さん方のクリスマス讃美歌コーラスや私たち教師によるハンドベル、子どもたちが作ったクッキーのお振る舞いなどがあります。


「シュタイナー教育はキリスト教ですか?」と聞かれることがありますが、実はどの宗教にも属していません。
私たちはクリスマスも「宇宙と私たちをつなげる季節の祝祭」として祝っています。祝祭は本来、宇宙の天体の動きと関わりが深いものです。そして、天体の動きは暦と関係が深いですね。
日本人も暦を通して、季節を祝って来ました。お正月、節分、ひなまつり、七夕、月見などなど、、、私たちの中に神の力を宿すものとして祝う、意識的な神との結びつきです。

シュタイナーの思想では、人間の自我意識の大元は宇宙にあるとし、シュタイナーは「宇宙のリズムを知ると、自らを知ることができる」と話しています。祝祭はこの大宇宙のリズムと小宇宙(自己認識)を結ぶものである、と考えて季節の祝祭を大切にしているのです。

クリスマスについては、聖書に記された「キリストがあらわれたこと」を事実としてとらえています。

そして単純に信仰として信じるのではなく、目覚めた意識(認識の力)によって、思考を高めることでキリスト存在の重要性を理解しようとしています。

ですから、あらゆる宗教に属することなく教育は行われますが、キリスト存在の重要性は大事にしているのです。

ご興味のある方は、ぜひそうしたシュタイナーの哲学の扉も開いてみてください!

いまは、私たちひとりひとりが「私」として決断したい時代に生きています。

この「私」を意識する力をもたらしたのは、キリストの到来によって、とシュタイナーの思想では認識されています。

声の大きな人や、力の強い人に盲目的に従うのではなく、健康な在り方で、常識的に、正常な思考で精神的な世界も認識することができる、これが自我の力であるといいます。

その認識への道がアントロポゾフィー(人智学)なのです。

 「ひとりひとりの心の中に、教会を打ち立てよ」

これはシュタイナーの言葉です。
私たち大人にとってのクリスマスはまさに、日常の中で忘れがちな、自分自身の中に大元への畏敬の念を取り戻す機会であるとも言えましょう。

今年もお読みくださりありがとうございました。
皆さんのもとに、良きクリスマスが訪れますように。

 
(文・虹乃美稀子)
「小さな声が聞こえるところ」は新月・満月の更新です。
次回は1月3日満月🌕の更新です。
 
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ABOUT

虹乃美稀子東仙台シュタイナー虹のこども園 園長
園長および幼稚園部担任他。
公立保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、2000年に音楽発信ホーム「仙台ゆんた」を開き、アンプラグドのライブ企画など行う。
並行してシュタイナー幼児教育者養成コースに学び、南沢シュタイナー子ども園(東京都東久留米市)にて吉良創氏に師事。
08年仙台ゆんたに「虹のこども園」を開く。
民俗学とロックとにんじんを好む。1973年生まれ、射手座。

著書
『小さなおうちの12ヶ月』(河北新報出版センター)
『いちばん大事な「子育て」の順番』(青春出版社)