3年前に生まれた、月1回土曜日の幼児専科クラス「こびとのお庭」。
にじみ絵を中心としたこのクラスは、普段他の保育園や幼稚園に通っている子どもたちが12名ほどやってくるクラスです。
年間10回ほどの、回数の少ないクラスではありますが、昨年12月のアドヴェント・セレモニーの時には、子どもたちはどの子も神妙に、自分のりんごろうそくを大事そうに抱えてもみの渦巻きをまわり、それを見守る子どもたちも静けさに包まれて、クラスの一体感も感じられました。
たった月に一度でも、同じ顔ぶれで同じ流れで時間を過ごすことで、子どもたちはこの場から大事なものを受け取ってくれているようです。
年少さんから年長さんまで一緒の縦割りクラスですので、年少さんは慣れるまでにしばらく時間がかかります。
それまではお母さんと一緒に通っていた場所に、子どもだけで通うわけですから、泣いてしまう子、玄関からなかなか敷居を跨げない子と様々です。
あまり泣いてしまって難しい場合は、頑張らせすぎずにお家に帰ることもありますし、お母さんが一緒に教室に入ってもらうこともあります。
それでも、ほとんどの子どもが半年も過ぎると慣れてきて、その子らしく園での時間を過ごすようになります。
にじみ絵は、どの子も大好きです。
濡らした厚手の画用紙に透明水彩の具で3原色を広げていくにじみ絵は、モチーフを描く「お絵かき」ではなく「色の体験」をしています。
ノウハウを指導するのではなく、環境設定を徹底することで、子どもが自分のペースで色彩の世界を味わいながら、絵を描くことそのものを愛するようになっていきます。
その後は、教室での自由遊び。
シュタイナー園のおもちゃは、自然物を中心としたものでできています。
子どもたちは貪るように、遊びこみます。
シルクの布を頭から体までたくさん巻き付けて「エルサよ!」となりきっている女の子。本科幼稚園部では聞かれることのないセリフですが(笑)、たった月に1度のこの教室での遊びの時間がどんなに子どもたちに心待ちにされているかを感じます。
まるで「魂の栄養」に食らいつくように過ごす時間。
最後はいつも、輪になってろうそくを灯し、お集まりの時間を持ちます。
どうしてろうそくを灯すのでしょう?
人類の歴史は火と共にありました。
太古の昔から戦後のつい数十年前まで、人間はずっと家族と共に火を囲んで暮らしてきました。人間の暮らしから囲む火が消えたのは、つい最近の出来事なのです。
しかしそれは人類史上、大きな転換点に来ているのかもしれません。
ひとつの火を囲むことで、私たちは「一体感」を感じ、自分はコミュニティの一員だという実感を味わってきました。
現代は「自己肯定感」の喪失を味わう人が増えていますが、自己肯定感というものは、「自己」という個を切り取って「肯定」されるものではありません。
「みんな」という中に安心して迎えられている、という感覚が「自己肯定感」なのです。
たった月に1度の幼稚園でのこの時間が、ここに集う子どもたちの魂の滋養となって、これからを生き抜く力になっていきますように。
そんな祈りを込めて、こびとのお庭の子どもたちを迎えています。
(園長 虹乃美稀子)
次回は3月7日満月の更新です。
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