今年の夏は、暑かった。
夏至のあたりから30度を超える日が続き、気づけばもうずっと2ヶ月以上も猛暑の中にいます。
子どもの頃は、「やませ」(山背。夏に東北や北海道に吹く北東の風)が吹く冷夏のために、夏休み中一度もプールに入れなかった(気温25度以下)年もあった仙台の夏。
今やそんな夏があったことが信じられないほどの暑さです。
命の危険を感じるほどの暑さにより、私たちは様々な暮らしのあり方を見直されています。
学校や保育現場では、今まで通りの行事運営や活動計画をそのままに実行していると、熱中症を防げません。この夏は、そうして命を落とす痛ましい事故もありました。
私たちは、人為的にも引き起こしてしまっているこの「地球沸騰化」について、自分達の社会のあり方を見直しながら、暮らし方もまた足元から変えていく必要がありそうです。
一昔前は、冷房に頼りすぎずに夏は適度に外遊びをして汗をかきましょうとお話ししていました。
それは今でも大切なことですが、あまりの灼熱の暑さは、日中外に出ることに危険を感じます。
より地面に近いところいる小さな人たちはなおさらです。
そして、まだ熱感覚が十分に発達していないので、暑さ・寒さも適宜には感じ取れないのも子どもたちの特徴です。平気な顔をして遊んでいるから、まだ大丈夫と言っているからと放っておいてはいけないのです。
この夏休みは、園の子どもたちも室内で過ごす時間がいつもの夏より多かったようです。
デジタル化が進み、自然に触れ合う機会が極端に減っている現代生活において、こうした地球灼熱化がより人間の暮らしを「カプセル化」していくのではないかと危惧されます。
今年はエアコンの効いた部屋の中で、ついつい冷たい飲み物や食べ物を摂りすぎて夏バテ気味、という方も多いのではないでしょうか。
こうした地球史上特筆すべき環境の変化の中にいる現在の私たちの暮らしの中で、とても簡単にお金がかからず、今夜からでも即実行できる、健康を取り戻す秘訣があります。
それは「早寝早起き」です。
なーんだ、と思われるかもしれません。
そうなんです、皆さん当たり前すぎて、この話をするといつもつまらなそうな顔をされてしまうのです。
でも、早寝早起きによって作られる生活リズムは、生命にとって偉大です。
シュタイナーは「リズムが生命の担い手である」と言っていたそうです。
ヨーロッパの自然派化粧品メーカーとして知られる「ドクターハウシュカ」の創始者が、かつてシュタイナーに生命について教えてくれと尋ねたときに、生命について知りたければリズムを研究するように、と話したのです。
私たちの中にある呼吸のリズム、循環のリズム、排泄のリズム、、、これらのリズムを私たちは意識的にコントロールすることはできません。(呼吸法は一時的なものです)
しかし、生活リズムを整えることによって、私たちはこの内的な生命のリズムを間接的に整えていくことができるのです。
そしてそれは、身体だけではなく、精神的な健やかさも活性化させます。
夏バテで疲れてしまっている方は、とりあえず早く寝て、早く起きましょう。
夏休み明け、学校や園に馴染みにくく感じる子どもたちも、まずは生活リズムを整えてあげるところから。
たとえ欠席しても、早寝早起きのリズムは家庭で作ってあげられるようにしましょう。
勉強よりも大事なことですし、好きなことをさせてあげるにしても、こうした生活リズムは子どもだけでは作りきれず、大人の助けが必要です。
うつ的な症状、気持ちの滅入り、だるさなどの倦怠感も早寝早起きはとても効果があります。
インドで生まれた伝統医学のアーユルヴェーダは、世界最古の三大医学として知られていますが、アーユルヴェーダの基本の基本は「早寝早起き」です。
しかも、日の出の96分前に起きるのがふさわしい、とされています。
仙台の8月末の日の出時刻はおよそ5時ですから、3時半には起きなければならないということで現代生活においてはあまり現実的ではないですが、生き物としての人間の自然な在り方としては本来それがふさわしいのでしょう。
アーユルヴェーダではどんな体質の人も少なくとも日の出には起きるようにと言います。
私たちが考える「早起き」よりもだいぶ早いですね。
現代生活の中で、心身の健康を守ることはなかなか簡単ではありません。
生活が個人化していく中で、ライフスタイルはどんどん気ままになっていき、子どもたちも大人のそうした暮らしのリズムに付き合わされがちです。
私たちの健康は私たち自身の「意志」の力によっても、育まれます。
ついついの夜更かし、
ついついの食べ過ぎ、
ついついいじるスマホ、
ついついの寝過ぎ。
そんな自分をより良い方に導いてあげる「意志」の力は、生き抜く根っこの力にあるのです。
次回は9月15日新月の更新です。