小さな声が聞こえるところ134「光から、再誕生」

 まさかの、2年連続病院で迎える年末となってしまいました。
そう、私は今園から歩いて10分もかからない近所の病院にいます。
風邪をこじらせてしまって、まさかの入院となってしまいました。

コロナ禍が終わって、一安心と思いきや、インフルエンザが猛威をふるっている今年。園でも今年はたちの悪い風邪が流行りました。インフルエンザやコロナウイルスではなかったのですが、咳と鼻水がひどかったり、高熱が繰り返し出る風邪です。

私は11月と12月に2度続けて、子どもたちからもらうように風邪をひきましたが、幸い熱が出なかったので、だましだまし仕事をしていました。というのもこの季節、クリスマスになると毎日の生誕劇、それに続く各クラスのセレモニーと休めない状況が続くのです。喉が痛くても、歌ったり、お話ししたりしなければいけない仕事なので、その間に炎症を広げてしまったようで、気づいたら気管支炎を通り越して肺炎になっていました。

おかげさまで、病院で2、3日療養に専念していたらだいぶ回復感が出てきて、大晦日に退院できるようになりホッとしています。今年は手術もあって元旦に退院したので、病院で新年を迎え、病院で迎える年末だと笑ってしまいました。重症でないことを感謝するばかりです。

お世話になっている病院は、スペルマン病院という近所の「光ヶ丘」という場所にあります。拙著「小さなおうちの12ヶ月」の中で「光ヶ丘から得た光」に書いた、あの私が卒園したナザレト幼稚園のあるところです。


病室の窓からは、子どもの頃何度か入ったことのある修道院と、その隣にナザレトの園舎が眺められて、思わぬ郷愁を得ています。松林の松は、とても大きくなっていますが、私が子どもの頃通った45年ほど前はどれくらいの大きさだったのだろうと想像したりしています。
大事な冬休みの休日を病院で過ごすことになったのは残念だけれど、色々な雑務から強制隔離されて、ぽかんとできているこの数日は、もしかしたら神様からのプレゼントなのかもしれません。

ちなみに、このスペルマン病院は宮城県内で唯一のホスピス病棟を持っていることでも知られています。
古いけれども温かみのある病院で、お医者さんも看護師さんも優しく丁寧な応対をしてくださいます。私が病室でラベンダー精油を使っていたら、何人もの看護師さんに「いい香りですね!」と話しかけられ、ホスピスや高齢者医療の現場でも活用できないかなどとお話しされたりもしました。医療者の方々の誠実な優しさは、接しているだけで信頼を深め、癒されますね。保育の道に通じると感じました。

今年もこの連載をお読みくださった方々、ありがとうございました。
年内最後の執筆は病室からとなってしまいましたが、1/6までは、光の再誕生、クリスマスの祝祭の季節。私も再誕生して元気になって、また来年、あれこれ日々の小さな声を綴っていきたいと思います。
みなさま、良い年をお迎えくださいませ。

文・虹乃美稀子

「小さな声が聞こえるところ」は新月・満月の更新です。
次回は1月11日新月の更新です。

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ABOUT

虹乃美稀子東仙台シュタイナー虹のこども園 園長
園長および幼稚園部担任他。
公立保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、2000年に音楽発信ホーム「仙台ゆんた」を開き、アンプラグドのライブ企画など行う。
並行してシュタイナー幼児教育者養成コースに学び、南沢シュタイナー子ども園(東京都東久留米市)にて吉良創氏に師事。
08年仙台ゆんたに「虹のこども園」を開く。
民俗学とロックとにんじんを好む。1973年生まれ、射手座。

著書
『小さなおうちの12ヶ月』(河北新報出版センター)
『いちばん大事な「子育て」の順番』(青春出版社)