毎年この季節は、来春小学校に上がる子どもたちのための連絡会があります。入学予定のそれぞれの学校から案内をいただき、子どもたちの個別の引き継ぎを行うのです。園児が通う予定の学校に行って、先生たちとお話しできるのは貴重な機会なので、都合のつく限り出席できるようにしています。
学校側としては、保育現場からの率直な子どもたちの様子を聞いて、新年度からの学級編成に活かしたい、というのが一番大きいようです。身体・健康面、行動・性格面、生活・習慣面などに特に配慮が必要なことを教えてほしい、ということです。
また、学校側からもスムーズに学校生活に移行できるように、入学準備として心掛けていてほしいことをお話しされたりします。
例えば今年のある学校では、こんなことが伝えられました。
・和式トイレで用がたせるようになっていること。
→和式トイレに馴染みがないと、男の子でも大便の時に困ってしまう子がいる。
・脱いだ衣服がたためること。
→体操服への着替えや脱いだものの始末ができない子がいる。
・文房具の取り扱いができるようになっていること。
→ハサミやノリが使えない子もいる。
・箸をきちんと使えるようになっていること。
→箸が使えずに、スプーンで食べる子がいる。
こういったお話から、現代の子どもがだいぶ不器用になっている姿が浮かんでくるかと思います。
ひと昔前は、こうしたことは幼稚園や保育園で十分に経験を積んでいることなのですが、、、。学校の先生たちも、さぞご苦労されることかと思います。
体の器用さと言語の表現能力はつながっています。運動感覚と言語感覚はコインの表と裏です。
例えば、年長さんは片手でボールを放り投げて、それを両手で受け止めること、つま先で立って歩くこと、指で細かい作業を行うこと(縫い物や編み物など)、片足で前後左右に自在の跳べること、靴紐を結べること、などができるようになっていることが、就学準備の大事な目安です。ひらがなを読み書きできたり、数字に親しんでいることよりも、実はこうしたことが学校生活の大事な準備になっているのです。
なぜなら、言語表現能力は学習能力、そしてコミュニケーション能力につながる大事な基盤であり、クラスという共同体に適応していく、つまり学校生活を友達と一緒に楽しめる大事な力になっていきます。
自分が困ったときに、先生にSOSを出したり、友達と揉めた時に、自分と相手の利害を調和させたり、また相手の話に耳を傾けたり、自分の経験が伝えられるということも、言語表現能力の大事な働きです。
学校に上がるとなると、ついつい学習活動そのものに気を取られがちですが、まずは体をよく使い、身の回りのことが自信を持ってできるようになるよう、繰り返しの生活習慣を身につけさせてあげたいですね。
文・虹乃美稀子
「小さな声が聞こえるところ」は新月・満月の更新です。
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子どものスピリチュアリティの育て方 実践後編
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