アメリカの大統領にトランプ氏が返り咲きました。
その傍らに重鎮として、ソーシャルメディアの「X」を買収したイーロン・マスク氏がいつのまにか大きな存在感を放っていたり、AmazonCEOのジェフ・ベソス氏が、伝統的に民主党よりだったワシントン・ポスト紙の大株主であることで紙面作成に口を出しているという報道を目にすると、GAFAM(Google、Facebook(現Meta Platforms)、Apple、Amazon、Microsoft)に代表されるようなビックテック企業が、いつのまにか世界情勢に影響を与えるほど、いわば政治家をも超える力を持ち始めていることに、漠とした不安を感じています。
それに伴って、各社はしのぎを削るようにしてAIの開発競争を行い、その人工知能を利用することこそが、これからの未来の「勝ち組」になるのであり、使わない手はないとメディアも煽るように伝えてきます。
これだけビジネスの力が、世界を有無を言わさぬ力でコントロールできるようになってくると、ひとりひとりの人間存在がちっぽけに思えてきそうです。
これからの時代を生きる子どもたちに育むべき「生き抜く根っこの力」を、私たち大人はより真剣に考えて行かなければと思います。
スマート化していく世界では、身体性は乏しくなっていき、自分自身が生きている意味を見出すことが、どんどん困難な世界になっていきます。
グローバル化していく世界では、自分自身が独立した尊厳のある存在であることを実感できる機会は、少なくなっていきます。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
そう鴨長明が「方丈記」に記したのは、平安時代末期。
絶えず変化していくのは世の常ですが、鴨長明が無常を感じた千年前と比べて、どれだけの倍速で変化していく時代に私たちはいるのだろうと、身に染みて感じる近頃です。
そして、この時代に子どもたちを育むことが、どんなにか時代の先端を生きる私たちにとって、何よりも大事なことであるかを。
文・虹乃美稀子
「小さな声が聞こえるところ」は新月・満月の更新です。
次回は2月28日🌚の更新です。
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