小さな声が聞こえるところ167「行きたくない。。。にどう答えるか」

 ゴールデンウィークが終わり、いよいよ本格的に今年度が始まった感のある5月。
この時期は園や学校に「行きたくない」という子が増える季節でもあります。
新学期の始まった4月は入学や進級で、担任の先生が変わったり、お友達が変わったりと刺激も多いので、良い意味での緊張も大きいもの。

そうして張り切って過ごしていたお子さんも、少し長い休みの後ではその緊張が解けたり、心の疲れが出たりして、学校や園に行きづらくなってしまうことが多いですね。

また、頑張ってみたけれど、新しい環境で「お友達とうまく仲良くできなかった」「新しい先生が苦手な気がする」といった気にかかることがあると、余計に学校が億劫に感じるところが出てくるかもしれません。
大人も「五月病」があるけれど、子どもにだってあるのです。

こんなときは、あれこれ理由を追求せずに休ませてあげても良いと思います。

ただ、こうした新学期のお疲れ休みは、あまり長引かせずに、1日休んだら明日は行こうね、という励ましも場合によっては必要かもしれません。クラスでも新しい友人関係が出来上がる時期ですので、この時期に長く休んでしまうとより教室に入ることが億劫になってしまうかもしれないからです。

「心のお疲れ休み」を1日とって、その日はできるだけお家で一緒に家事をしたりなどして過ごせるといいですね。お皿やお風呂を洗うとか、掃除機がけとか、お米を研ぐなど。

お母さんが働いていらっしゃる場合も、お母さんもお仕事休んで一緒にしっかり過ごせると、子どもも心のエネルギーをチャージできて、また新しい環境で頑張れる気持ちになれるかなと思います。

特に小学生は、幼児期を脱し、学校という社会のなかで友達や教師との様々な人間関係のやり取りを通して、心の中の感情を豊かに耕していくときです。

時に自分でも戸惑うような新しい感情の芽生えや、さざなみを体験しているのかもしれません。
お子さんが「いきたくない」と言った時には、親御さんがお子さんとしっかり向き合うよい機会でもあります。家庭が忙しすぎたり、家族関係が不安定な時も、子どもは心の元気が失われて、些細なことで「いきたくない」と訴える場合もあります。

どちらにせよ、子どもの「いきたくない」はなんらかのSOS、子どもの心の成長の大事な場面と捉えて、見守ってあげたり、暮らしを見直すよい機会になるのではと思います。

文・虹乃美稀子

「小さな声が聞こえるところ」は新月・満月の更新です。
次回は5月27日新月🌑の更新です。

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ABOUT

虹乃美稀子東仙台シュタイナー虹のこども園 園長
園長および幼稚園部担任他。
公立保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、2000年に音楽発信ホーム「仙台ゆんた」を開き、アンプラグドのライブ企画など行う。
並行してシュタイナー幼児教育者養成コースに学び、南沢シュタイナー子ども園(東京都東久留米市)にて吉良創氏に師事。
08年仙台ゆんたに「虹のこども園」を開く。
民俗学とロックとにんじんを好む。1973年生まれ、射手座。

著書
『小さなおうちの12ヶ月』(河北新報出版センター)
『いちばん大事な「子育て」の順番』(青春出版社)