小さな声が聞こえるところ173「スイカ割りという感覚遊び」

 夏休みももうすぐ終わり。
園が夏休みの間も「星まつり(夏祭り)」、「ホームカミングデー(卒園児保育)」、「お泊まり会(小学生クラス)」、「夏の会(プライベートクラス)」といろいろ行事はあり前半は忙しく過ごしていました。

その間に何回「スイカ割り」をしたことでしょう!
虹のこども園の夏の名物、スイカ割り。子どもたちは小さな子から小学生までとても楽しみにしています。

お泊まり会の時に小学生たちに「他の場所でもスイカ割りしている?」と聞くと、「してない」という子が多いのです。
コロナ騒動を経て、そんな機会が減ってしまったこともあるかもしれませんね。

小学生高学年ともなれば、もうスイカ割りなんて、、、と思うかなと思いきや、実はとても楽しみにしているらしく「今年もやるんでしょ?」と小声で確認されたりするので、猛暑続きでスイカの値段が高騰してもやらないわけにはいかないのです。笑

上の子が下の子の目に手拭いを当ててあげたり、誘導してあげたりと子ども同士でお世話し合うのも微笑ましい光景です。

加えて、スイカ割りは視覚を閉ざすことで、聴覚や触覚をフルに稼働する「感覚遊び」でもあります。

「もっと右!」「こっちこっち!!」と叫ぶみんなの声を頼りに、目隠しのまま見えないスイカに向かって歩いていくのは、周囲を「信頼」していないとできません
その場限りのイベント、初対面の多いメンバーではなかなか安心して楽しめない遊びでもあるでしょう。

現代は不安感が強かったり、自己肯定感が低かったりして「みんなと馴染んで遊ぶ」ことに難しさを覚える子どもが増えており、それが不登校が増える一因とも言えるようです。コロナ以降、とうとうその数は30万人を超えています。

そうした状態の子どもは「みんなの前で目隠しをする」という行為自体もとても不安になって難しく感じるでしょう。

また自我の目覚めきっていない小さな子どもも目隠しをするのは不安に感じたりするものです。その場合は無理にさせずに、みんなのするのを見ているだけでも十分楽しめます。

スイカはその成分の90%とも言われる水分が、暑い夏の水分補給にピッタリなのに加えて、リコピンとビタミンCの組み合わせが炎症や酸化によるダメージも長期的に抑える働きを持っているそうです。
リコピンは日焼けから肌を守る効果もあるので、夏のおやつとしては最適ですね。

仙台もまだまだ暑い夏が続いています。
夏休み明けの夏季保育でもまたスイカ割りをして、残暑を元気に乗り切りたいと思います。

文・虹乃美稀子

「小さな声が聞こえるところ」は新月・満月の更新です。
次回は9月8日満月🌕の更新です。

 

ABOUT

虹乃美稀子東仙台シュタイナー虹のこども園 園長
園長および幼稚園部担任他。
公立保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、2000年に音楽発信ホーム「仙台ゆんた」を開き、アンプラグドのライブ企画など行う。
並行してシュタイナー幼児教育者養成コースに学び、南沢シュタイナー子ども園(東京都東久留米市)にて吉良創氏に師事。
08年仙台ゆんたに「虹のこども園」を開く。
民俗学とロックとにんじんを好む。1973年生まれ、射手座。

著書
『小さなおうちの12ヶ月』(河北新報出版センター)
『いちばん大事な「子育て」の順番』(青春出版社)