園では基本的に穀物菜食の食事を出しており、牛乳や卵も給食やおやつには使っていないので、シュタイナー教育はベジタリアンである、という誤解をされることが時々あります。
園では日々の給食やおやつも子どもと一緒に調理する教育環境であること、またアレルギーも含めてさまざまな食環境のお子さんがいるので、穀物菜食の食事を原則にしていますが、決して穀物菜食が食事として望ましいと推奨しているわけではありません。

例えば、シュタイナーは牛乳を飲むことをとても推奨していますが、西洋人と東洋人の身体の違いや現代の乳牛の飼育環境なども考慮に入れると、すぐさま「牛乳をたくさん飲もう!」とはならない思います。
また、シュタイナーは精神修養には菜食が良いと言っていますが、修行者になる心構えもないままそこだけを徹底し過ぎたり、人格のバランスが取れぬうちにそこだけ推し進めてしまうと、心身のバランスを失う危険もあるようです。
シュタイナーは「肉食をしていると地上に束縛され、太陽の光を受けて育つ植物を食べていると、地上から解放されて宇宙に結び付く」と話していますが、私は宇宙にだけ結び付いていたら、保育ができないなと思い、30代の頃積極的にトライしていた菜食生活をやめました。
この地上に降り立ち、結びつこうとしている子どもの魂のそばにいる仕事は、地上との結び付きがとても大切だと思ったからです。
情報社会の中では何でも突き詰めてスタイル化しがちですが、何事もほどほど(平衡感覚)を保てる感覚が心身の健康を保つのだろうと思う最近です。
また、大人がさまざまな食生活を体験したのちに、自分の心身の調子を整えるために食の節制を行うことを、そのまま体を育てている最中の子どもに強いることは、栄養面においても、また心理的な育ちの面においてもリスクが大きいことも考慮しないといけません。
以前、菜食に熱心なお母さんが、お子さんたちにも生まれてから一切動物性のものや市販のものを与えたことがないと頑張ってらっしゃいましたが、そのお母さんの目の届かぬところで、そのお子さんたちが他の子どもたちが食べていた袋菓子を奪うようにして、必死に口に入れているのを見かけたことがありました。
でも、お母さんの前では「あんなものは食べたくない、おいしくない」と言うのです。子どもたちは、いつだってお母さんがなんと言えば喜ぶかを知っているからです。
お母さんが頑張られるのは我が子を思っての母心であることはもちろんです。
世の中にはたくさんの毒になるような食べ物も出回っていますから、一生懸命になるお気持ちはもちろん理解できます。
ただ、子育てにおいてはいつも「正しきこと」が正解であるとは限らないのですね。

一番大切なことは、成長するに従って、野菜・肉・魚・果物・穀物となんでもよく食べられるようになることです。
何でも食べられる、と言うことは、自分の外の世界にある多様性を受け取り、噛み砕いて、自分の体の栄養にできることーつまり「消化できる力」となります。
それはつまり、子どもが成長した時にバランスの良い社会性を育てることにつながるのです。
(文・虹乃美稀子)
次回は3月3日満月🌕の更新です。




