卒園を迎え、巣立っていった年長さんたち。
小学校に上がる期待に目をキラキラさせ、晴れの日を迎えたにっこり笑顔のその口元には歯がない、、、というのは、卒園児あるある、の光景です。
3月に入って、続けて歯の生え変わりを迎えた男の子。
もうか細い一本の糸で繋がっているようなグラグラ状態の乳歯で給食を食べるときなど、気になって仕方ありません。
見ている私も、遠い昔自分が経験した生え変わりの記憶を思い出します。
グラグラ揺れ始めると、気持ちもなんだか揺れ動くようで落ち着かなかったこと、舌先で歯を押したり引いたりしてみたこと、取れた時にうっすらと口の中に広がる鉄(血)の味など、、、。
身体の記憶は、しっかりと根付いているものですね。
給食を食べながら、男の子の歯が、抜けました。
見せてもらうと、とても小さくてかわいい歯だけれど、しっかりその小さな歯の中にその子自身が現れているような。とても不思議な気持ちになりました。

シュタイナー教育では歯の生え変わりは大きな成長の節目と見ています。
歯は人体の中でも一番強いエナメル質でできています。
歯の生え変わりは、このエナメル質でできた永久歯を生み出す成長期における一大事業です。
この大仕事を成し得ると、それまでこの一大事業に注力していた子どもの生命力=(身体の再生活動や臓器の維持、思考の形成を司どる力、器官形成活動)はその仕事から解放されて、変容します。
つまり、もはや歯の再生に関わる必要がないので、「抽象的な活動」をすることができるようになるのです。
生命力は、記憶力に変容します。
そうすると「抽象的な活動」つまり、学習活動に必要な力を生み出すことができるのです。

記憶力というのは単に暗記をしたり、誦じたりする力だけではなく、例えば黒板に先生が板書したものをノートに書き写す、といったことにも使われます。
歯の生え変わる前、つまり幼児期の早期教育は、情緒の安定を脅かすばかりでなく、子どもの体を弱めるというのはこういうわけです。
つまり、永久歯の生え変わりは「もう学校に行って勉強できる準備ができたよ」という体からのサインなのです。
そのサインが出る前に、字や数字や理屈や説明といった「頭」を使うことに浸らせてしまうと、幼児期の体づくりという人生における最初の一大事業に生命力が注力できません。
子どもは吸収したがりますから、字や数字に関心を持つ子は多いですし、今は情報と知識が偏重している時代なのでそうしたものに早々と触れたがる子どもは少なくないのですが、欲しがるからと与えていると(ネットは情報と知識の迷える海です)、生命力が思考の力に引っ張られることによる弊害は、その子の一生に悪影響を及ぼすことになりかねません。
幼児期の体づくりの不備や欠落は、その人の人生の後半の体に病気や不定愁訴、弱いポイントとなって現れやすくなります。
その子がその一生を、しっかりと生き抜くことのできる大事な体つくりに取り組むことができる幼児期の環境を、ふさわしく整え、また守ってあげるのが大人の役目。
情報と知識に溢れた現代生活であるからこそ、幼児期にはそこに「覆い」をかけて優しく守ってあげられる配慮が必要なのです。

(文・虹乃美稀子)
次回は4月2日満月🌕の更新です。
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