小さな声が聞こえるところ57「虹のこども園の新しい定義」

このエッセイをご覧になっている方はお気付きのように、
園のウェブサイトがリニューアルされました。
今年は新著の発売があったり、
大人向けのオンライン講座を始めたこともあり、
今までのサイトの内容を整理する必要がありました。

それに合わせて、改めてトップページのメッセージを書くことになりました。
信頼を寄せている園のウェブ担当のKさんからは
「おいそれとは書き換えない、石板に刻むような気持ちで書いてください」
という、なんだかそれだけで心が引き締まり過ぎて震えるような言葉をいただいてしまい、
必死で考えました。

・・・というのは嘘で、私は文章を書く時にあまり「必死に」はなりません。
虹のこども園はいつだって進化形で、
いつも必要に応じて有機的に変化してきた場所なので、
きっとそのことを表現する良い言葉は見つかるだろう、
と草原で四つ葉のクローバーを探すような気持ちでおりました。

そうして(少し焦りつつも)じっくり待って見つけた言葉は、
やはり旅先の青空の下でした。

それが以下の「石板に刻まれた」言葉です。
解説つきでご紹介させてください。

虹のこども園は
子どもたちと
子ども心を尊ぶ
すべてのおとなたちのための
学びの場です

(こども園はこどもの場所だけではない、大人の学びも提供する場であること。そうした役割は既に創立時から担ってきたが、オンライン講座の構築により具現化した。キーワードは子ども心を尊ぶ、というところ。大人の中にもずっとある、子ども心。)

おとなも子どもも
いのちあるものみな
この宇宙船地球号の仲間です

(私たちは、広大な宇宙〜銀河系の太陽系地球という稀なる星に生命を持つ、奇跡のいのちの連なりである)

時代を超え、距離を超えて
私たちは進化の旅を、続けています

(人間は個としても、全体としても、まわりてめぐる命の営みの中で成長進化を続けている)

その大いなる旅路のほとりに小さな虹をかける
私たちの園は つづく未来の子どもたちのために

(虹とは空からの”しるし”。個の生命を超えた人類の進化という壮大な旅は気が遠くなるが、OK&GOの”しるし”が虹である)

小さなことを、大事にします

小さな声に、耳を澄まします

小さな花を、見つけます

(small is beautiful. そして、ミクロコスモスはマクロコスモスへと通じている)

これが、新しい虹のこども園の定義です。
13歳になりました。
人間の成長を7年周期で捉えるシュタイナー教育のものさしから見ると、
第2七年期も残すところあと一年。
土台を作ることに一生懸命だった第1七年期を終えて、
地域社会とつながりながら、裾野を広げて呼吸を深くしていく第2七年期の虹のこども園は、
こんな風に育ってきました。

これからまた成長変化していきながら、有機的なありようを大事にしていきます。

新しい、普遍の形を求めて。

(この連載は毎月満月・新月の更新です。次回は11/30満月の更新です。)


文・虹乃 美稀子(園長/担任)
公立保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、
シュタイナー幼児教育者養成コースに学ぶ。
南沢シュタイナー子ども園にて吉良創氏に師事。
06年シュタイナー親子クラス開設
08年「東仙台シュタイナー虹のこども園」開園   
仙台・東京・岩手にてシュタイナー講座・子育て講座を通年開催
著書「小さなおうちの12ヶ月」(河北新報出版センター)
  「いちばん大事な『子育て』の順番」(青春出版社)


Facebook|東仙台シュタイナー虹のこども園
Instagram|@steiner_nijinokodomoen

 

ABOUT

虹乃美稀子東仙台シュタイナー虹のこども園 園長
園長および幼稚園部担任他。
公立保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、2000年に音楽発信ホーム「仙台ゆんた」を開き、アンプラグドのライブ企画など行う。
並行してシュタイナー幼児教育者養成コースに学び、南沢シュタイナー子ども園(東京都東久留米市)にて吉良創氏に師事。
08年仙台ゆんたに「虹のこども園」を開く。
民俗学とロックとにんじんを好む。1973年生まれ、射手座。

著書
『小さなおうちの12ヶ月』(河北新報出版センター)
『いちばん大事な「子育て」の順番』(青春出版社)