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小さな声が聞こえるところ96「食事を取り巻くあれこれで育つもの〜食育の話5」

子どもたちが心待ちにしている給食の時間。
それまではお母さんに会いたくて「帰りたい」「電話して」と訴えてくる子どもも、

給食の頃にはご機嫌になっています。

給食のテーブルは全部で3つ。
それぞれに教師が座り、年少さんから年長児までが、同じテーブルで食べています。  

最近では、インスタグラムなどに投稿される素敵な食事の写真でも、
お汁のお椀とご飯のお茶碗が左右逆に並んであったり、
お箸が右左逆に置かれていてびっくりすることがありますが、
給食の時間は、こうした日本で培われてきた食事の文化やマナーを伝える大事な機会でもあります。

 
「お箸を持つ手(左利きの子には配慮が必要ですが)の方にお椀が来るよ、
ご飯のお茶碗は左手の方だよ、
その上におかずのお皿だね。」ということを、日々の暮らしの中で伝えています。  

割れても良いから、食事の時こそ本物の質感をしっかり味わってもらいたく、
お椀は木製のものを、お茶碗や湯飲みは陶器のものを使用しています。
プラスチックの食器に盛ったものとでは、味わいも違ってくるものですし、
そうしたことを体を通して感じてもらうことを大事にしています。 

「落としたら割れる」ことを知るのも、とても大切です。
割れてしまいそうだからこそ、大事に扱ったり、注意深さが育っていきます。   

そして扱う大人の仕草も、自然と丁寧になります。
大人の丁寧な仕草は、そこに「心を込めている」温かさが伝わるので、
小さな子どもと接するときほど、大事にしたい姿勢です。
投げても落としても割れないプラスチックの食器を丁寧に扱う方が、難しいものです。

今日は、年少さんがうっかり湯呑みを床に落としてしまいました。
割れなかったけれども、残っていたお茶が少し、床にこぼれました。
「あっ」と小さく驚いた私に、年長さんがすかさず「割れてないよ、良かったね!」
そして「お茶はこぼれたから、雑巾持ってくる?」と聞いてきます。

「おねがいします」と私が答えると、彼はすかさず雑巾を持ってきて、湯呑みを落とした年少さんの足元をきれいに拭いてくれました。

子ども用の雑巾は、色のきれいなものなどそれとわかるものを選んで、特定の場所に置いています。
子どもが目にしやすく取り出しやすいところにいつも変わらず置いてあることによって、
こうした自発的な行為が生まれやすくなります。

お茶などをこぼしてしまった時に、
「よそ見してるからよ」「ふざけすぎたね」とぶつぶつ言われながら大人にきれいにしてもらうのをただ待っているよりも、
「雑巾を持っておいで」と言われて、いつものところに取りに行き、
自分できれいにできる方が、子どもも気持ちが良いものです。

子どもが暮らしやすく、自発性が育つ環境作りは、
大人の小さな工夫で、子どもの成長の大きな助けとなることができます。

食育の大切さが盛んに言われるようになりましたが、
何をどう食べるかだけではない、食事を取り巻くあれこれが、

私たちの国の文化や他者への思いやり、
そして自分で自分を支えていく根っこの力を育む大事な要素に満ちています。  

(この連載は毎月満月・新月の更新です。次回は6/29新月の更新です。)

 

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ABOUT

虹乃美稀子東仙台シュタイナー虹のこども園 園長
公立保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、シュタイナー幼児教育者養成コースに学ぶ。
南沢シュタイナー子ども園にて吉良創氏に師事。

2008年「東仙台シュタイナー虹のこども園」を開園。幼稚園部を中心に、未就園児親子クラスから小学生クラスまで、12年間にわたる子どもの成長を見守る草の根の教育機関として運営。
東京をはじめ、全国各地でシュタイナー講座・子育て講座を開催。

著書
『小さなおうちの12ヶ月』(河北新報出版センター)
『いちばん大事な「子育て」の順番』(青春出版社)