短い夏休みが、終わりました。
でも、今年は遠出をすることもなく、
家でじっくり酷暑も過ごしましたので、
夏は十分に味わったなという感じです。
毎年恒例だった、
小学生のお泊まり会や
野外での大がかりな夕涼み会は
全て見送りましたので、
集ってワイワイする時間はほぼ持てませんでした。
それでも、夏の思い出は子どもたちと作りたく、
夕涼み会は「ミニ夏まつり」として、
幼稚園部・親子クラスそれぞれの時間に行うことにしました。
室内メインでの、ショートバージョンです。
幼稚園部は、コロナで休園した保育日補填のための分室での夏期保育中に行いました。
どうやったら、保育の中で、子どもたちだけでも
楽しく行えるかなと知恵を絞り
(コロナからこちら、無い知恵を絞らされっぱなしです)
水ヨーヨー釣り、魚釣りごっこ、羊毛ボール的当て、アクセサリーつくり、
はたまた、前日にきらめくように発案されたマリモ釣り、なる遊びと
なかなか充実したコーナーができました。
小さなスイカ割りもできましたし、
みんなで手作りの提灯を持って、近くを「提灯行列」でお散歩もしました。
いつもは広い野原で100名以上が集まって踊る「虹の子どもの盆踊り」も、
15名の子どもたちと私と助手さんとで、
お散歩の途中で口唱和しながら、ひっそり踊りました。
夏にふさわしい「眠り姫」の人形劇も見ました。
私たち教師は
「今年はこじんまりとしたけれど、なんとか楽しんでもらってよかったなあ」
という気持ちだったのですが、、、
ある男の子が
「今年の夏祭りは、本当に楽しかった。どれもこれも、全部楽しかった。」と
心を込めて伝えてくれたのです。
その時に、ハッと気づかされることがありました。
子どもたちは、大人数が集まるイベントのようなお祭りよりも、
気心知れたいつもの友達や先生とこうして、
日常の延長の「特別な時間」を過ごすことの方が、
ずっとずっと、楽しいのかもしれないな、と。
もちろん、毎年の夕涼み会も楽しいのですが、
100名以上集まる人々の半分は、保護者さんと教師である大人たち。
大人たちにとっても、クラスの垣根を超えて、また卒園児親子も迎えて、
久々に顔を合わせるお楽しみの時間でした。
そうした親子で集う夏のひとときを大切にしたくて始めた行事でしたが、
子どもたちにとっては「お母さんに連れられていったイベントのひとつ」に
なってしまっていたのかもなと感じました。
今回のように、子どもだけで、いつもの保育の延長で行う夏まつりは、
そうした意味では、純粋に「子どもたちのための 子どもたちだけのお祭り」として、
心から楽しめたのでしょう。
いろいろなところで、いろいろなイベントがあり、
あちこちに車に乗って母子で出かけられるようになった今、
園が子どもたちのためにしてあげられることの中身も、
変わってきているのかもしれないなと感じました。
「子どもが中心となって作られた、子どものための純粋な時空間」
現代ではどんどん、失われています。
「大人も子どもも一緒に楽しもう!」という場所で、
本当にどの子どもも安心して楽しめるか、というとなかなか難しいものです。
そういった点においては
「立ち止まって、在り方を問い直す」
良い機会をコロナ渦から得ている面もあるのだなと気づかされました。
感染の収束を祈りつつ、
困難の中から得た気づきもまた、大切にしていきたいなと思います。
(この連載は毎月満月・新月の更新です。次回は9/17新月の更新です。)
文・虹乃 美稀子(園長/担任) 公立保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、 シュタイナー幼児教育者養成コースに学ぶ。 南沢シュタイナー子ども園にて吉良創氏に師事。 06年、シュタイナー親子クラス開設 08年、「東仙台シュタイナー虹のこども園」開園 仙台・東京・岩手にてシュタイナー講座・子育て講座を通年開催 著書「小さなおうちの12ヶ月」(河北新報出版センター) 2020年秋 新著刊行予定(青春出版社) オンライン連続講座「子どものスピリチュアリティの育て方」第1期スタート 10/10より Facebook|東仙台シュタイナー虹のこども園 Instagram|@steiner_nijinokodomoen |