園の夏休みは、仙台市の小学校とほぼ一緒なので7月の下旬から8/25までと1ヶ月以上あります。
夏休みになる前日、年長の男の子たちは
ついこの前まで登園時にぐずり泣きし、玄関先でお母さんを困らせていた年少さんは、
夏休みに入って数日経つと、朝から「どうして幼稚園に行けないの」と大泣きしたそうです。
みんな、ありがとう。虹のこども園が、大好きなんだね。
それは私たち教師にとって、とてもうれしいことです。
でも、どんなに大好きなところでも、ずっと切れ目なく通い続けたり、長時間いたら、
やはり疲れるもの。
休みがあるからこそ、行きたくなる。
長く会えないからこそ、大好きな場所なんだと気づく。
これは、大人にとっても同じかもしれませんね。
かつて私は公立保育所に勤めていました。
保育所は、働く親御さんのお子さんを預かるところですから「(必要なら)なるべく預かる」ことが良しとされます。
私が働いていた20年前も、日曜と祝日、それから年末年始の6日間と、年度切り替えの4月1日以外はずっと稼働していました。
今はもっと、休園日は少なくなっているようです。
年末年始も開いているとか、夜遅くまで開いているところも。
開いている日はずっと、通い続ける子どももいます。
その子にとっては、家にいる時間より圧倒的に保育施設にいる時間が長くなっています。
そして、働く保育士たちもまた、切れ目ない保育の日々を過ごすことになります。
交代で休みを取ることはできても、細切れになってしまったり、自分は休暇を取っても現場が動いていると心底休めないという先生も少なくありません。
なんだか、大人も子どもも、どんどん「休む」ことが減ってしまっているよう。
休むことに慣れなくて、休みの過ごし方がわからなくなってしまったり。
休むこと。
日本人はちょっと苦手なのかもしれませんが、
実は休んでいることは、何かをしている時と同じくらい大事なことのようです。
翌日試験だという日の一夜漬け勉強、誰しもやったことがあるかと思いますが、
徹夜で朝ギリギリまでやるよりも、一度しっかり眠ったほうが記憶が定着するというのを聞いたことはありませんか。
身体の気のめぐりに働きかける整体療法やマッサージなども、施術後ゆっくり休んでいるときに作用が働くので、その時間が大事だと言われます。
かつてお百姓さんたちは、田起こしや田植え、稲刈りなどの激しい農作業の後の農閑期には、
2週間や1ヶ月も湯治場に長逗留し「何もせずに、温泉に浸かる」だけの休養を取るのが習慣でした。
保育も同じ。長い季節のお休みを経て、久しぶりに会う子どもたちの成長はひときわ輝きます。
まるでしばらく休んでいる間に、子どもたちは園での暮らしを内的に咀嚼し、滋養として、育っているかのようです。
そうして改めて集い直したクラスは新しい力を得て、次の学期の活動へと意欲的に取り組んでいくことができるのです。
こうした一年を通した活動と休養のリズムは、人間の生命力や免疫力を根っこから整え、強めてくれます。
ついつい「活動すること」にばかり関心を寄せがちですが、それと同じくらい「休むこと」も大事なのです。
旅好きな私は、いつも長期の休みになると遠出の旅行をするのが楽しみでしたが、
コロナの収まらぬ今年の夏はそれもお預け。
でも、改めて家でゆっくりしながら「休むこと」の大事さ、深い作用を味わっている夏休みです。
ついつい活動過多となり、頭や神経を無意識に酷使しがちな現代。
抑うつ状態や、自律神経失調のような症状はこうしたことで増えている側面があります。
未来を生き抜く子どもたちに、まずは大人が上手に休むことを、伝えていけるようになりたいですね。
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