小さな声が聞こえるところ154「ニジノフェス、その先へ」

ニジノフェスが、大成功のうちに終わりました。
ニジノフェスは虹のこども園保護者有志で立ち上がった「未来につなぐ子育て応援委員会」主催でした。
 

「こどもを大切にするおとなになりたい」をテーマに、園がその昔(2000年〜03年)ライブハウスだった時代のご縁のミュージシャンを招いてのライブや、マルシェにヨガ体験、子育て相談コーナーもある盛りだくさんの内容でした。

委員会が立ち上がった理由のひとつには、園児の半数以上を占める年長さんが来春卒園すると園児が一気に減るとともに、コロナ禍と幼児教育無償化の普及で入会者が減った余波が、園児減少に響いている状況がありました。

虹のこども園は公的補助に頼らない、お月謝だけで運営している草の根の私塾。お月謝の値上げをせず「教育の独立」を志し奮闘しておりますが、この時代の社会状況や子育てへの意識変化も大きく、創立17年目にして、とうとうこの先の存続の危機がちらほら見えてきているという状況です。

”新たな子育て文化を創出するムーブメント”を起こしたい気概で、お母さんたちが立ち上がったというわけです。
正直なところ、日々の保育や講座に加えイベントを手がけるのはかなり大変でもあるのですが、今回お母さん方から立ち上がった熱は尋常ではないものを感じていました。
仕事をもって働いているお母さん、
育児に奮闘中のお母さん、
日々大忙しのお母さん方が、「園のためにフェスをやろう!」と立ち上がる情熱は、相当のことです。 

情熱は、人間だけがもつ「霊的な熱」だと、シュタイナーは話しています。

再結成された「みちのく割烹着〜ず2024」は、もともと10年前の園7周年記念で結成されたお母さん方のダンスグループです。

ちょうど大震災の原発事故後だった仙台の状況を背景に「Love me tender~原発はいらない」を踊りました。
今回は、園のうた「虹の龍」を踊りました。
私は歌いながら、なんだか未来にとてつもなく希望を感じることができました。

「こんな時代」というフレーズをよく耳にするようになるほど、環境問題においても、国際情勢においても、国内の政治経済においても、困難な課題が山積みであることを、誰もが目をそらすことのできない時代。
そのなかで、子どもたちになんとか希望ある未来を手渡したいと、もがく大人たち。

私たちはこの見えないコミュニティのなかで、もがきながら確かになにか希望ある未来を生み出すことができているー
その恩恵のような果実を、ご縁にあるすべての人とともに、確かに受け取ることができたように感じました。

フェスでは、新しい出会いもいくつかありました。
そのひとつひとつの出会いが、新たなこの情熱の波紋を広げていくだろうことを思う時、もはや園の存続に小さな心を悩ませるよりも、この情熱が生み出す大きな波に乗って、自然に必要なことが起きてくることを、大きな心で信頼していきたいと思います。

とても素晴らしいフェスになりました。みなさんに感謝です。

みちのく割烹着〜ずで、みなさんの街にもぜひ会いにいきたいです!

(文・虹乃美稀子)

 
 
 いつもお読みくださりありがとうございます。
「小さな声が聞こえるところ」は新月・満月の更新です。
次回は11月1日新月🌚の更新です。

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ABOUT

虹乃美稀子東仙台シュタイナー虹のこども園 園長
園長および幼稚園部担任他。
公立保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、2000年に音楽発信ホーム「仙台ゆんた」を開き、アンプラグドのライブ企画など行う。
並行してシュタイナー幼児教育者養成コースに学び、南沢シュタイナー子ども園(東京都東久留米市)にて吉良創氏に師事。
08年仙台ゆんたに「虹のこども園」を開く。
民俗学とロックとにんじんを好む。1973年生まれ、射手座。

著書
『小さなおうちの12ヶ月』(河北新報出版センター)
『いちばん大事な「子育て」の順番』(青春出版社)