小さな声が聞こえるところ88「ゆんた22周年!ライブハウスから生まれた幼稚園」

虹のこども園は、「ゆんた」とも呼ばれています。
今は園舎の愛称の様に呼ばれていますが(正式には仙台ゆんたという事業者名として届け出済)、実はこの場所は今から22年前の2000年2月19日に「音楽発信ホーム 仙台ゆんた」としてオープンしました。
そう、ゆんたは今月22歳になったのです。   

音楽好き(特にアコースティックロック)だった私は、高校生の頃は学校に行くより、ライブハウスに行くことの方が多いような生徒でした。
不登校気味だったこともあり、勉強もまともにしていなかったため、いざ大学受験となった時には付け焼き刃の勉強では志望校には全く歯がたたず、滑り止めに受けた短大の保育科に入ったのが、保育に目覚める道につながったというのが正直なところです。
運命というのは本当に不思議なものだなと思います。

保育科に入学してからは、幼児教育の面白さにすっかり夢中になり、数年音楽のことを忘れていました。

その転機となったのは、23歳の時に当時最先端だったチルドレンズ・ミュージアムの視察でニューヨーク、ボストンなどアメリカの東海岸を訪れた時です。
視察旅行をオーガナイズされていた三重県津市の子どもの本専門店「メリーゴーランド」店主の増田喜昭さんの友人として、当時ニューヨークにも住んでいたフォークシンガーの友部正人さんが、プライベートで食事の席に歌いにきてくれたのです。
その時に久々にライブの面白さに感動し、帰国してから自分でライブを企画する様になりました。
当時はまだ仙台市の保育士。
住んでいた古いアパートが空き巣に入られたのをきっかけに、公務員だったので若いながらになんとか住宅ローンを組み、プライベートの時間に自分の家をライブハウスにして遊ぼう!と思いついて生まれたのが今の園舎でもある「仙台ゆんた」なのでした。   

こうして書いてみると、無謀なばかりの若かりし頃の自分が浮かび上がりますね。笑
やってみたいことは、できるか?できないか?ではなくて、やってみよう!という性格だったのかもしれません。

ゆんたは不思議な場所で、ここが生まれてからはあれよあれよという間に、人生が転がり始めました。

住宅ローンを組む時に「若い女性は公務員でも結婚するとすぐ辞めてしまうから、、、」と貸し渋られ「辞める予定はありません!」と押し切りましたが、結果的に2年も経たないうちに、仙台市を退職。
アルバイトでローンを返しながら、シュタイナー教育を志す人生が始まりました。

ライブハウスとしてのゆんたは、シュタイナー園での実習のために上京するまで3年ほど活発に続け、そのあと仙台に戻ってからは自然と子どもたちの場所にシフトしていき、すっかりシュタイナー園としてリニューアルしたのは2008年のことです。

ここがライブハウスだった時代を知る人も、今では少なくなってきましたが、私が「ゆんたさん」といまだに呼ばれたりしているのは、そんな歴史があるからです。
あれから22年が経ちました。
ライブハウスから幼稚園へと中身は変わりましたが、ゆんたはずっとこの場所で活動を続けてくることができました。
そして、大事にしていることはずっと変わらないということを確信しています。

ー心の中の”あれ”が動き出すところ

あの頃は音楽を通して、

そしていまは、小さな人たちとの暮らしを通して、
ゆんたは自分自身の心の中の大事な”あれ”に耳を澄ますことを、大切にしています。    

”あれ”ってなんでしょう。
それはきっと、それぞれの”小さな心の声”のようなものなのかもしれません。

ゆんた、22歳。
七年周期の成長サイクルでいうと、いよいよ成人して世に出て行く時、人生の「夏の時代」です。ゆんたはどんな大人になっていくのでしょう。

こんな時代背景の中で成人を迎えたゆんたの役割が、きっとあるはずです。
世界中を探しても、元ライブハウスだったシュタイナー園はもしかしたらゆんただけかもしれません。
仲間がいるなら、繋がりたい。
そしてこれからも自由に、心の小さな声に耳をすまして、
私らしい道を、歩んでいきたいと思います。
ゆんたは、もう一人の私そのものでもあるのです。
 
 
 (この連載は毎月満月・新月の更新です。次回は3/3新月の更新です。)

ABOUT

虹乃美稀子東仙台シュタイナー虹のこども園 園長
公立保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、シュタイナー幼児教育者養成コースに学ぶ。
南沢シュタイナー子ども園にて吉良創氏に師事。

2008年「東仙台シュタイナー虹のこども園」を開園。幼稚園部を中心に、未就園児親子クラスから小学生クラスまで、12年間にわたる子どもの成長を見守る草の根の教育機関として運営。
東京をはじめ、全国各地でシュタイナー講座・子育て講座を開催。

著書
『小さなおうちの12ヶ月』(河北新報出版センター)
『いちばん大事な「子育て」の順番』(青春出版社)