小さな声が聞こえるところ91「嘘から出たまこと〜園庭から土器が出土しました」

4月1日新月。エイプリル・フールですね。

ここ数年、エイプリル・フールにはSNSの個人アカウントで小さな嘘を投稿する遊びをしていました。
昨年はこんな感じです。

春休み中、園庭のウッドデッキを素敵な小屋に改装工事中。

その工事で、なんと縄文土偶が発掘されました。
子どもたちが庭を深く掘り下げては、昔住んでいた風呂桶屋さんの暮らしのかけらを掘り当てるのを楽しんでますが、まさか縄文土偶が出てくるとは。
ここらあたりは、多賀城築城に繋がる奈良時代の窯跡などの遺跡も残る土地ですが、やっぱり縄文の痕跡も地下には眠っているのですね!
四月に入り、馬や鹿も喜んで庭を駆け巡っています。
新学期です! #四月馬鹿」
 
 
「#四月馬鹿」とハッシュタグもつけましたし、
縄文土偶のオモチャのサイズ感もありえないサイズですし、
何よりこんな土偶が完全形で園庭から出土したなら、メディアに大きく取り上げられますから、エイプリフールの嘘にはぴったりだと思ったのです。 

ところが本当に信じてくださった方もいたようで、すごいですね!と感心されたりして、「あれはエイプリル・フールで、、」と苦笑いするやりとりがいくつか。

しかし「噓から出たまこと」との諺どおり、昨年本当に子どもたちが土器を園庭から掘り出したのです!

先月卒園した子どもたちも園庭の穴掘りが大好きでしたが、とりわけ発掘作業に夢中になる男の子がいました。
園舎の隣の園庭は、私が子どもだった頃に風呂桶屋さんだった土地で、掘っていくと昔の暮らしのかけらが色々と出てきます。
その多くは昭和の時代のラムネ瓶のビー玉だったり、茶碗のかけらだったり、何かの金属だったり。

いろんなものが出てくるのが面白くて盛り上がっていく子どもたちに、助手のA先生が以前発掘の仕事をしていた経験を生かし、穴の掘り方、地層をよく見ていくこと、掘り出したものをよく観察して取っておくこと、などをさりげなく伝えていました。

A先生は発掘の目を持っていて、毎月子どもたちと出かける森でも、「これは」と拾い上げた土のかけらが遥か昔の時代の土器のかけらだったりすることがあります。
私には何の変哲も無い土のかけらにしか見えないのですが、、、。

 

そんなA先生と子どもたちとが掘り出した「宝物」のかけらたちを、考古学がご専門のA先生のお連れ合いでいつも園にたくさんのご協力をいただいているNさんがお宝鑑定してくださり、子どもたちがわかるように一覧表にしてくれました。

何とそこには、一番古いもので、千年前の平安時代の土器のかけらが混じっていたのです!

縄文時代には遠く及ばぬものの、それでも千年の時代を経て、21世紀の時代を生きる子どもたちが、土遊びの傍らでこうした土器を掘り出すなんて本当に驚きでした。
宮城は縄文時代の遺跡も多く、この園庭もひたらすら掘っていったらいろんなものが出てくるんだろうね!とよく話していたのです。 

そんなイメージも膨らませての、昨春の「四月馬鹿(エイプリルフィール)」だったのですが、まるで「嘘から出たまこと」の通りになって、うれしい出来事でした。

本物の土器を掘り出したという子どもたちの誇らしさもひときわ大きなもので、この後もいろんなものをせっせと掘り出してはお宝を見つける遊びは、園の文化として年少の子どもたちにも引き継がれています。

今年も、まことになったら素晴らしいような嘘がつけたらいいな!と思います。
四月馬鹿は、夢を自由に語れる日なのかもしれませんね。
 
(この連載は毎月満月・新月の更新です。次回は4/17満月の更新です。)

ABOUT

虹乃美稀子東仙台シュタイナー虹のこども園 園長
公立保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、シュタイナー幼児教育者養成コースに学ぶ。
南沢シュタイナー子ども園にて吉良創氏に師事。

2008年「東仙台シュタイナー虹のこども園」を開園。幼稚園部を中心に、未就園児親子クラスから小学生クラスまで、12年間にわたる子どもの成長を見守る草の根の教育機関として運営。
東京をはじめ、全国各地でシュタイナー講座・子育て講座を開催。

著書
『小さなおうちの12ヶ月』(河北新報出版センター)
『いちばん大事な「子育て」の順番』(青春出版社)