小さな声が聞こえるところ128「NZからお里帰り」

 園は今年16年目。今までここで出会った子どもたちの中には、遠く海外に引っ越していった子どもたちもいます。
その中のひとりであるS君が、ご家族皆さんで一時帰国され、園に寄ってくれました。
7年前に年少さんで在籍していたS君は、もう11歳。
クライストチャーチにあるシュタイナー学校に通う5年生です。
こちらに通っているときはひとりっ子でしたが、7年のNZでの暮らしの中で2人の弟のお兄さんとなっていました。

ちょうど訪問される日がクラス懇談会でもあったので、お母さんには懇談会にもご出席いただき、ワーキングホリデービザで一家で移住されてから、永住権を取得されるまでの7年間の向こうでの暮らしのあれこれをお話しいただきました。

 シュタイナー学校に通うまでにも数年間待機されたこと、その間に通った2箇所の対称的な公立学校でのご経験、コロナ禍でお仕事がなくなってしまい大変な思いをされたことなど、その日々は決して順風満帆ではなかったことが察せられます。

でも、以前にもまして逞しくなったお父さんとお母さん、そして幼児期からきらりと光っていた優しさと思いやり深さが一層輝きを増しているS君に再会できた時に、このご家族で歩まれた7年間の異国での日々が、どんなに尊い時間であったかを感じさせられました。

保育後に、教室でご一家でゆっくりお過ごしいただきました。
初めて園に来た4歳と0歳の弟くんたちは、すっかりリラックスして遊んでいます。
そんな弟たちを優しく見守りながら、Sくんはシュタイナー学校の音楽の時間に取り組んでいるというバイオリンを披露してくれました。

立ち姿も美しく、その澄んだ音色に心が熱くなりました。
小さなこの園での出会いが、時を超えて国を超えて、つながり合っている事を思う時、
大きな虹が、空にかかっているように感じました。

帰って来れる場所を守り続けていくこと、できる限り大事にしていきたいと思います。

次回は10月15日新月の更新です。

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ABOUT

虹乃美稀子東仙台シュタイナー虹のこども園 園長
園長および幼稚園部担任他。
公立保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、2000年に音楽発信ホーム「仙台ゆんた」を開き、アンプラグドのライブ企画など行う。
並行してシュタイナー幼児教育者養成コースに学び、南沢シュタイナー子ども園(東京都東久留米市)にて吉良創氏に師事。
08年仙台ゆんたに「虹のこども園」を開く。
民俗学とロックとにんじんを好む。1973年生まれ、射手座。

著書
『小さなおうちの12ヶ月』(河北新報出版センター)
『いちばん大事な「子育て」の順番』(青春出版社)