いよいよ、巣立ちの春が近づいてきました。今年度は定員いっぱいの15名が在籍する幼稚園部。年長さんが8名もいるので、とてもにぎやかです。
3学期に入り、子どもたちはぐんと成長の姿を見せています。
成長の姿は、それぞれです。
あんなに泣いて教室に入るのを渋っていた子が、玄関から飛び込むように登園してくるようになったり、
お祈りの時に「我関せず」で折り紙をいじり続けていた子が、手を合わせられるようになったり、
お集まりの輪に入らずに教室の隅っこに逃げていた子が、両隣の子と手をつないで「ひとつの輪」に入れるようになったり、
お友達の遊びの「邪魔をする」ことでしか「遊ぶ」ことを味わえなかった子が、もめたり泣いたりしながらも「関わって」一緒に遊ぶことができるようになったり、
「学校に行きたくない」と言い張っていた子が「まあまあ」楽しみだと言えるようになったり。
こうして書いてみると、とても小さなことではありますが、成長を見守ってきた担任からみると、ひとつひとつが感動的な、大きな成長です。
日々は淡々とした暮らしの積み重ね。
保育者はただただ、目の前の子どもたちと誠実に向き合い「平和」を作り出すのみです。
「平和」な保育とは、どんなでしょう。
それは決して、ただニコニコと優しい声で子どもたちに寄り添うことではありません。
「平和」は秩序も伴います。
クラスの秩序を生み出すのもまた、大事な担任保育者の役目です。
そのためには、叱ることも、厳しい態度をとることもあります。
理不尽な行為を「その子らしさを保証する」と言ってしまうのは簡単ですが、時にそれは大人の怠慢であり、その子自身に本当に必要な育ちの機会を奪ってしまうことでもあります。
どんな「秩序」が教室という小さな社会に生きているのかー
子どもたちはそれを、とても敏感に感じ取っています。
先生は、どんな時に許して、どんな時に叱るのか。
その「境界」がはっきり健全に生きていると、子どもたちは安心して大人を信頼し頼ります。
厳しく叱られた子どもが、その後うれしそうになついてきたり、それまで以上に甘えてくることがよくあるのもそのためです。
今は「叱らない子育て」といった本やハウツー情報が散見されます。
子どもにもよりますが、まったく叱らずに育てるというのは難しいもの。
「叱ってはいけない」と思ってしまうと、子どもによってはもうどうしていいかわからなくなる親御さんも多いのでは。
「叱る」と「怒る」は違います。やってはいけないのは、子どもに「怒り」という感情を大人の自制心なしにぶつけること。平和の世界には不要です。
どうやって教室に本当の「平和な世界」を生み出していくか。
その努力を、大人が自らを鏡写しながら試行錯誤する姿そのものは、子どもが自ら成長しようとする力を自ずと導き出すのかもしれません。
春、いよいよひなどりたちは大空へと飛び立ちますー

文・虹乃美稀子
「小さな声が聞こえるところ」は新月・満月の更新です。
次回は3月14日満月🌕の更新です。
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