新年度が始まりおよそ1ヶ月経ちました。
新しく入った子どもたちも、虹のこども園の給食を食べるのをとても楽しみにしています。お母さんと離れるのがちょっと心細くても「ごはんは食べて帰る!」と話すのを聞くと、こちらまでうれしくなります。
特に、味噌汁はいつも大人気。
おかわりが相次いで、たくさん作ってもお鍋はいつも空っぽになります。
お給食で使うお味噌は、保育の中でこどもたちと一緒に作っています。
すりこ木とすり鉢を使っての昔ながらのお豆つぶしは、子どもたちはとても夢中になります。
お豆の香りを嗅覚で感じ、固かった豆の茹であがりの柔らかさ、熱を肌で感じ、全身を使って力強い意志の下、大人もかなわぬ集中力でひたすらお豆を潰す。
そして、まるで粘土のように、塩とこうじとお豆をこねこね、こねこね、、、、
からだの様々な感覚を十分に感じながら、手足をよく動かし行う暮らしのあれこれの「家事」は、子どもたちの生活に則し、身体を通して具体的に理解できることであるのが、とても大事です。

ですからこどもたちにとって、彼らの具体的な理解の範疇をこえる機械仕掛けのあれこれやスクリーンに映される様々な情報や刺激、バーチャルな世界は子どもの成長にとって本質的には意味を成さないものです。
YouTubeでどんなに「おいしいお味噌の作り方」を見ても、実際にホカホカの蒸した豆の香りが部屋中に広がる中で、せっせと豆をすりこぎで潰して、ちょっと塩で手が痒くなったりしながらも麹と混ぜてこねていく、というあの体験の100分の1も味わうことはできないのです。
こどもにとって大切なのは、生まれ落ちたばかりのこの地球の世界と仲良くなること。世界を体を使って知ること。
だから大事なことは、身の回りの暮らしから、なのです。
お味噌つくりをすることについての「うんちく」は幼いひとたちには何も語りません。
幼稚園は、”理想のお家の再現”。
お家で毎日ごはんを作る前に、その栄養価値や必要性、その材料やメニューの由来や背景を説明するお母さんなんて、あまりいませんよね。
お母さんがやってるからやってみたい、ように
先生がやっているからやってみたい、
そう思えるように、そしてそう思ったときに
「はい どうぞ」とすぐに言えるように。
わたしたちはこどもたちの取り巻く環境を日々念入りに、注意深く準備しています。
こうした日々の暮らしや生活体験を重視した保育は、本質的な自主性の育ちを見越しています。
大人になったときに、本当に自分の意見がちゃんと言えて、周りに影響されずに自由な意思をもった人間に育つために。
幼児教育とは単なる子育ての補完ではなく、それそのものが人間教育の代え難い礎になるものなのです。

(文・虹乃美稀子)
次回は5月31日満月🌕の更新です。




