小さな声が聞こえるところ196「災害時の子どもの心のケア」

 昨日、旅先で熊本地震のニュースを知りました。
まだ被害の全貌は見えていませんが、被害がなるたけ小さく済むことを祈ります。

熊本はご縁ある地で、友人知人も多く住んでいます。
その一人である保育の仕事をしている友人とのやり取りで、地震の影響で3歳の女の子が食欲をなくし、お母さんから離れられずにいると聞きました。
たとえ直接大きな被害に遭っていなくても、多くの子どもたちが大きな不安の中でストレスを感じ、いつもの様子ではなくなっていることと思います。

東日本大震災の経験も思い出しながら、こんな時にそばにいる大人が心がけたいことをなるたけ簡潔にまとめました。

1 「だいじょうぶだよ」と繰り返し伝える

深刻な事態であるほど、子どもは大人たちの表情や空気を察して不安を強めていきます。子どもは世界に対して行動を起こすことはまだできないので、一層不安が募ります。
どんなに大変な状況でも「大丈夫だよ」と伝えることは決して「嘘」ではありません。
「だいじょうぶ」な状況にするために、大人たちが力を結集して救助や支援にあたっています。そのみんなが見据える先の「だいじょうぶ」の力を伝えてあげましょう。笑顔と共に。

2 メディアから距離を置く

状況を知りたくてついテレビをつけっぱなしにしたり、スマホで情報を追いがちですが、繰り返し流される地震や被災状況の画面を、大人と違って子どもたちは繰り返し新鮮に受け止めそのつどショックを受けます。
安心感を取り戻すためにも、子どもの前でメディアの情報が繰り返し流れることのないように配慮しましょう。大人が「怖い」とコメントしているシーンを繰り返し見るだけで、子どもは頼れる存在である大人が怖がっていることそのものが、不安になるのです。
大人同士の会話も子どもが聴いている時には、内容に配慮しましょう。

3 いつもと違う状況を「楽しんで」みせる

停電したら懐中電灯やろうそくの灯りでご飯を食べたり、冷房停止の中、熱中症対策で水風呂に入るということもあるでしょう。やむをえずいつも通りにならないことを「非日常」として「遊び」のように楽しんでみせることでも、子どもは安心を取り戻していきます。不謹慎なことではありません。非常時でも工夫して乗り越える大人の姿を見せていきます。

4 やり取りできる「遊び」をする

子どもたちは遊ぶことで、日常を取り戻していきます。特にいつも身近にいる家族とのささやかな遊びは、いちばんの薬になります。
おもちゃがなくても、「ずいずいずっころばし」や「指相撲」など触れ合いながらの遊びはスキンシップで安心感を育みます。身近な紐などで「あやとり」をしたり、チラシを正方形に切って「折り紙」にしたり。避難所など物資の限られた場所でも遊べることを思いついて楽しんでみましょう。くすぐりっこで笑うだけでも、ストレス解消になります!

加えて、今回の熊本地震は真夏に起きた状況で、停電下での熱中症なども心配されます。可能な方は、親戚や友人知人を頼って夏休みの間は親子で被災地を離れるというのもひとつの手段かと思います。

子どもたちは、まだ世界に対して直接行動できる力は持っていません。
だからこそ、社会に起きるさまざまな困難は、子どもたちの生存を本能的に脅かすような大きな不安を与えます。
「大丈夫だよ」と子どもたちに伝えることで、私たち大人も不安に飲み込まれずに、日々を取り戻す小さな一歩を進める勇気を育んでいきましょう。

大好きな熊本の地の、1日も早い復興を祈っています。

(文・虹乃美稀子)

「小さな声が聞こえるところ」は新月・満月の更新です。
次回は8月13日新月🌑の更新です。   
 

ABOUT

虹乃美稀子東仙台シュタイナー虹のこども園 園長
園長および幼稚園部担任他。
公立保育士として7年間保育所や児童相談所に勤務後、2000年に音楽発信ホーム「仙台ゆんた」を開き、アンプラグドのライブ企画など行う。
並行してシュタイナー幼児教育者養成コースに学び、南沢シュタイナー子ども園(東京都東久留米市)にて吉良創氏に師事。
08年仙台ゆんたに「虹のこども園」を開く。
民俗学とロックとにんじんを好む。1973年生まれ、射手座。

著書
『小さなおうちの12ヶ月』(河北新報出版センター)
『いちばん大事な「子育て」の順番』(青春出版社)